血に堕ちたライラックはウソにまみれている
第十三話 フェアラート 1
苛々が募る。フィランが暗殺されて、陛下はブラッドを王太子殿下にあげると言い出した。あんな素性のしれないブラッドを王太子殿下に据えていいものか……でも、陛下は、ブラッドの母親を好いていた。だから、結婚してすぐに後宮へと迎え入れた。
私を蔑ろにして、あの女の元へと通いつめたのだ。
そのブラッドが王太子になる。でも、陛下が認知してしまっている正式な殿下であることは間違いない。しかも、母親は陛下の従姉妹だったから、王族なのも間違いない。
だから、せめて私の親族との結婚を促した。そうでもしないと、ブラッドに私までもが支配されてしまう。
「王妃様! リラ・リズウェル伯爵令嬢様が見つかりました!」
「本当か! いったいどこに!?」
「それが……フェアラート公爵邸にいまして……」
「フェアラート公爵邸?」
思い出せば、私が塔に行ってブラッドが来た時に、フェアラート公爵の嫡男であるジェイドと扉の前ですれ違った。
「そんなところに……」
フェアラート公爵邸にいれば、私が手を出せないとでも思っているのだろうか。
「……すぐに行くわ。フェアラート公爵邸に、兵を送りなさい」
「し、しかしっ……フェアラート公爵が何というか……」
「フェアラート公爵は、毎年この時期は別荘地にいるはず。だから、王都にも登城してないわ。間違いなくフェアラート公爵邸にいるのは、ジェイドだけ。すぐに行って、リラを捕らえるのです。抵抗すれば、フィラン殿下暗殺の共謀者として、邸の者も捕らえなさい」
リラだけは許せない。私のフィランを殺した。大事なたった一人の子供だったのに。
いつも表情一つ変えないリラ。美しく珍しいライラック色の髪色の、長く伸びた艶めくような髪。そんな小柄なリラは可愛いと評判だった。でも、彼女はあまり笑わない。そんなところが、可愛いではなく、キレイだという評判になったのだろう。実際に、リラは隙もなく、落ち着き払った様子だった。フィランは、そんなリラでも愛してた。
すぐに婚約したいと言い出して、フィランの望みをかなえた。
その結果がこれだ。
リラは、フィランに心を開いた時が一度でもあったのだろうか。
「……すぐに処刑するわ。抵抗するなら、その場で処分しなさい」
「ハッ!!」
報告にきた王妃直属の騎士クレメンスにそう言い渡した。
私を蔑ろにして、あの女の元へと通いつめたのだ。
そのブラッドが王太子になる。でも、陛下が認知してしまっている正式な殿下であることは間違いない。しかも、母親は陛下の従姉妹だったから、王族なのも間違いない。
だから、せめて私の親族との結婚を促した。そうでもしないと、ブラッドに私までもが支配されてしまう。
「王妃様! リラ・リズウェル伯爵令嬢様が見つかりました!」
「本当か! いったいどこに!?」
「それが……フェアラート公爵邸にいまして……」
「フェアラート公爵邸?」
思い出せば、私が塔に行ってブラッドが来た時に、フェアラート公爵の嫡男であるジェイドと扉の前ですれ違った。
「そんなところに……」
フェアラート公爵邸にいれば、私が手を出せないとでも思っているのだろうか。
「……すぐに行くわ。フェアラート公爵邸に、兵を送りなさい」
「し、しかしっ……フェアラート公爵が何というか……」
「フェアラート公爵は、毎年この時期は別荘地にいるはず。だから、王都にも登城してないわ。間違いなくフェアラート公爵邸にいるのは、ジェイドだけ。すぐに行って、リラを捕らえるのです。抵抗すれば、フィラン殿下暗殺の共謀者として、邸の者も捕らえなさい」
リラだけは許せない。私のフィランを殺した。大事なたった一人の子供だったのに。
いつも表情一つ変えないリラ。美しく珍しいライラック色の髪色の、長く伸びた艶めくような髪。そんな小柄なリラは可愛いと評判だった。でも、彼女はあまり笑わない。そんなところが、可愛いではなく、キレイだという評判になったのだろう。実際に、リラは隙もなく、落ち着き払った様子だった。フィランは、そんなリラでも愛してた。
すぐに婚約したいと言い出して、フィランの望みをかなえた。
その結果がこれだ。
リラは、フィランに心を開いた時が一度でもあったのだろうか。
「……すぐに処刑するわ。抵抗するなら、その場で処分しなさい」
「ハッ!!」
報告にきた王妃直属の騎士クレメンスにそう言い渡した。