この愛は永遠に〜危険な甘い囁き〜
そして、いかにいつもこうならない様に未然に防止してくれていたのだろうと。

だって私はこれまで一度だってこんな経験をした事はない。

あんな理不尽な理由で簡単に人を攫ってしまうような奴らだ。
きっとこれまでだって何度も危機があったはずだ。

銀…
早く戻ってきてよ…
私はここにいるよ…

自分の震える身体を抱きしめ後部座席にうずくまる。

どのくらいの時間がたったのか、ようやくドアが開いて銀が隣に乗ってきた。

新は少し離れた所で日向と他の組員と話をしているようだった。

「小春」

そう言って私の肩に触れた瞬間、反射的にビクっと避けてしまった。

銀は手を宙に浮かせたまま驚いた顔をしている。

「ち、ちがっ」

そんなつもりじゃ…
慌てて銀を見る。

「いや、いい。…大丈夫か?」

銀はそのまま私に触れずに心配そうに顔を覗かせる。
でもその表情はとても傷ついたような顔でもあった。
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