この愛は永遠に〜危険な甘い囁き〜
そんな顔させたかったわけじゃないのに。

私は銀に抱きついた。

「小春…?」

それでも銀はやっぱり腕を回してはくれない。

「ギュッてして。抱きしめて」

「小春っ…」

銀は切そうな声を出してからゆっくりと腕を回し、そして力強く抱きしめてくれた。

「銀っ…。好き」

たくさん言いたい事があったのに、私の口から出た言葉はそれだった。

銀は更に強く抱きしめてくれる。

「見ただろ…? あれが俺の…生きてる世界だ」

私はコクっと頷く。
一瞬しか見てないけど、銀の生きる世界を知るには十分だった。

「俺が…怖いか? もう、一緒にいたくないと思ったか? こんな汚い手で…触れられたくないと…思ったか?」

その声はとても小さくて、不安な気持ちがひしひしと伝わって来るようだった。

まるで、怖がらないで。
離れないでくれ。

そう言ってるみたいに。
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