この愛は永遠に〜危険な甘い囁き〜
スーッと静かに車がエントランスに入り停車する。

「機嫌直せよ。春ちゃん」

春ちゃんだぁ?
銀さんはまだニヤニヤと笑っている。

「小春です」

名前を言うと笑うのをやめて何故かジッと私を見つめる銀さん。
吸い込まれそうな瞳に目がそらせなくなる。

「小春」

そして落ち着いた声で名前をひとつ呼ばれた。
ドクンと大きくまた私の心臓は止まってしまいそうになる。

何でよ。
名前呼ばれただけじゃない。

「…銀」

なんだか私だけ悔しくて呼び捨てで呼び返してみる。

すると運転手がいるにも関わらず私の頭の後ろに大きな手が周ったと思えば引き寄せられ、鼻と鼻がぶつかりそうなくらい顔が近づいてピタっと止まった。
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