高貴な財閥夫婦の猫かぶりな日常
高貴な二人は猫かぶり
秀一郎と依鈴。

有名な財閥の令息と令嬢。
二人とも、高貴で美しい。

そんな二人。
依鈴が大学卒業したのを機に、お見合いをし結婚した。

お見合いした日。

互いに“一目惚れ”

すぐに交際を開始し、その年のクリスマスに籍を入れた。

スパダリ秀一郎と清楚な依鈴。
互いにベタ惚れで、誰もが羨む相思相愛夫婦だ。

しかし……二人は互いに“本音を隠している”



籍を入れて四ヶ月経った、四月。

高台にある、一際目立つ豪邸。
秀一郎と依鈴の屋敷だ。

朝6時。
依鈴が目を覚ます。

「んん…」
ゆっくり起き上がり、隣の秀一郎のベッドの脇に腰掛けた。
起こさないように覗き込み、秀一郎を見つめる。
優しく、前髪を払った。

「素敵…//////綺麗な寝顔/////」
(秀一郎さんを見るだけで、心が洗われるわ!//////)

しばらく見つめて、寝室を出た。

すると、秀一郎の目がパチッと開く。
「フフ…素敵なのは、依鈴の方だよ!」

そう言って、サイドテーブルに置いているスマホを操作する。

画面には、沢山の依鈴の写真。
その数は、四ヶ月で一千枚を超えている。
更にその殆どが、寝顔である。

「はぁ…可愛い、可愛い、可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い//////」

ひたすら“可愛い”を連呼しながら、スマホ画面を見つめていた。


一方の依鈴は、朝食の準備をしていた。
「……ったい…」

包丁で、指を切ってしまう。
「はぁ…また、切ってしまった…」
救急箱を取り出し、手当をする。

「あ!急がなきゃ!」
壁の時計を見て、急いでキッチンへ戻った。

ちょうど朝食が出来上がる頃……

「おはよう、依鈴!」
爽やかな笑みを浮かべた秀一郎が、ダイニングに入って来た。

「あ!秀一郎さん、おはようございます!
ちょうど、呼びに行こうと思ってました!」

ダイニングテーブルに美味しそうな朝食が並んでいる。

「ありがとう!美味しそうだね!」
椅子に座った秀一郎。

「温かいうちにどうぞ?」
依鈴が茶碗を置く。

「うん!
…………ん?依鈴、これどうしたの!?」

秀一郎が依鈴の手を取る。
指に貼っているカットバンを見て言った。

「あ…包丁で切っちゃって…
なかなか家事に慣れなくて…(笑)
お恥ずかしいです…//////」
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