高貴な財閥夫婦の猫かぶりな日常
配達員が出ていき、依鈴は思わず息を吐いた。

「依鈴、大丈夫?」

「え?
あ…ご、ごめんなさい!」
(ヤバ…つい……!)

「疲れるよね…(笑)」

「え?」

「ほら、他人が家の中にいるとさ。
なーんか、気を遣うってゆうか…(笑)」

「あ…はい(笑)
でも配達員さんは、お仕事で来てくださってるのに……」

「そうだね。
それよりも!お腹すかない?」

「あ!そうですね!
ちょっと待ってくださいね!
急いで、ランチ―――――」
「待って!」

急いでキッチンへ向かうとする依鈴を呼び止める、秀一郎。
「え?秀一郎さん?」

「外で食べようよ!
デートしよ?」

「フフ…はい!
じゃあ…着替えましょう!」

部屋に移動し、服を着替えお洒落する。 
「秀一郎さん、これどっちがいいと思います?」

ネックレスを二つ見せてくる、依鈴。
秀一郎は「うーん…」と見比べて「こっち!」とネックレスを取った。

そして「つけてあげる!」と言い、前から依鈴を包み込むようにしてつけた。

「ついた!」
そう言って、顔を覗き込む。

「……/////」
間近に秀一郎の顔があり、思わず顔を赤くする依鈴。

「フフ…可愛い//////」 
呟いた秀一郎は、チュッとリップ音をさせキスをした。

家を出て、車に乗り込む。
助手席のドアを開けた秀一郎が、依鈴を乗せる。
そしてシートベルトをしめて、その流れで頭をポンポンと撫で、キスをする。

「ドア閉めるよ?」
「///////はい」

依鈴はいつも、その一連の流れに惚れ惚れしていた。
そして……運転中の秀一郎をただ見つめる。

(秀一郎さん、カッコ良すぎ!!
はぁ…/////綺麗…//////素敵…//////)

「依鈴、ランチは僕がよく行く○○ホテルのレストランでいいかな?」

「はい!」
(秀一郎さんと一緒なら、何処でもついていきます!!)

ホテルのエントランス前で車を止める。
ドアマンが近づいてきて、助手席のドアを開けた。

「いらっしゃいませ!」
微笑み言って、手を差し出してきた。

「ありがとう!」
依鈴はその手を取り、車を降りた。

「君、よろしくね!」
そう言って、秀一郎が車を鍵を渡す。

「あ、蒲郡様!いらっしゃいませ!
いつも、ありがとうございます!」 

秀一郎から鍵を受け取り、丁寧に頭を下げた。
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