高貴な財閥夫婦の猫かぶりな日常
パーティーと羨望と嫉妬
今日は、蒲郡グループのパーティー。

依鈴も、秀一郎と一緒に会場に来ていた。

先程からずっと、会社の社員や取り引き先の人間などが入れ代わり立ち代わり挨拶に来ている。

秀一郎と依鈴は、ずっと立ちっぱなしで柔らかな笑顔で受け応えながらも、心の中は毒で荒れていた。


「ご結婚、おめでとうございます!」

「ありがとう!」
「ありがとうございます!」

「やはり、奥様はお美しいですね〜!」

「フフ…そうでしょ?
僕にはもったいない妻ですよ!」

「そんな…//////
お二人とも、恥ずかしいです…/////」
(当たり前!!
どんだけ、この美しさを保つために努力してると思ってんだよ!!!)

「しかし羨ましいです、社長。
こんな素敵な奥様をもらえて……!
僕も欲しいな〜」

「「フフ…」」
((お前には一生無理だよ!!!
分を弁えろよ!!クズ!!))

二人は微笑みながら、心の中で同じ毒を吐いていた。


しばらく挨拶をして――――
やっと、落ち着き……… 

「――――依鈴、大丈夫?
疲れてない?」
秀一郎が気遣うように、依鈴の顔を覗き込んだ。

「少し、疲れました…」
(さすがに、きつい……
あーいつもは、依音が気を遣って上手く休ませてくれるからなぁー
まぁでも、秀一郎さんのためだし!)

「でも、平気ですよ!」
依音は、ニッコリ微笑んだ。

「こら!無理しないの!」
軽くデコピンする。

「……った…」
依鈴は、額を押さえ見上げた。

「いいんだよ?
きついって、言ってもらって!」

「でも、ほんとに平気です!」
(秀一郎さんのためなら、どんなことでも我慢できるし!)

「強がらないで?
でも、ごめんね。
僕のせいだよね…
気を遣わせてる…」

「え?え?そんなこと…」

「とにかく、休も?
飲み物、取ってくるね!」

(ほんと、健気で愛おしすぎる…!)
秀一郎は依鈴を近くの椅子に座らせ、足早に飲み物を取りに向かった。


椅子に並んで座り、ゆっくりしていると………

「―――――すみません。
お取り込み中、失礼します!」

従業員ではない男性が、急に二人の席に声をかけてきた。

「え?君、誰?」
秀一郎が、怪訝そうに男性を見た。

しかし依鈴は(確か、この人……ヤバい…!!!)と、目を見開き驚いていた。

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