謎のイケメンニートが「オレに任せろ」とか言ってくるんですが、大丈夫でしょうか?
「どうしてハタチそこそこの子にそんな大金渡したんですか? どう考えたって返せないのはわかっていたでしょう?」
「おいおい、俺に逆ギレされても困るね。こっちは貸してくれって泣きつかれて、親切心で助けてやっただけなんだから」
「それはっ……その、でもっ――」
「で、どうするんだ? 金はあんたが返してくれるのか? それともN県まで行った方がいいのか?」
黒沼がこれ見よがしに、複数のメモ用紙をテーブルへバラまく。
“金百萬円お借りしました”と、丸っこい字で書かれているのが見えた。藍の字だ。これが借用書、ってことみたい。
百万単位で何回かに分けて借りたんだろう。
藍の借金は、紛れもない事実らしい。
不規則な鼓動を刻む心臓が、キリキリと痛む。
汗の滲んだ手で、救いを求めるようにネックレスのチャームを握り締めた。
どうしよう。
どうしよう。
三千万なんて、普通のOLに用意できるわけない。いくらうちのお給料がいいって言ったって無理よ。
お父さんたちに相談……ううん、相談したってお金が湧いてくるわけじゃない。
そっちもダメだ。
やっぱりあたしがなんとかしなくちゃ。
どうしよう。
使ったことないけど、カードローンとか?
いやいや、いくらなんでもそんな大金ポンと貸してくれるわけがないでしょ。
もしくは……誰か、知り合いから借りるとか。
ただ、そんなこと頼める相手なんて――
「あ」