謎のイケメンニートが「オレに任せろ」とか言ってくるんですが、大丈夫でしょうか?

「キョウっごめんね、わざわざ」

浴衣の裾をわたわた引っ張りながらベッドから降りようとするあたしを、入って来たキョウが苦笑して制する。
「座ったままでいいから。こっちこそごめん。うち、何もないから退屈させたよな」

その手にはドラッグストアの袋。
コンビニじゃなかったの? とツッコむ間もなく、「足、見せて。手当する」と再び躊躇なくあたしの前に膝をついてしまう。まるでナイトのように。

そして、浴衣の裾から伸びた素足に触れて――

ビクッと思わず反応しそうになるのをひた隠して、「だ、大丈夫っ」と首を振った。
「自分でできる……っ、ひゃっ」

傷口に染みたのは、消毒液だ。
そんなものまで買って来てくれたらしい。

「ほら、抵抗しない。すぐ終わるから」

上目遣いに、呆れたように睨んでくるキョウ。

ちょうどこちらからは見下ろす形になり、彼のうなじ、首から鎖骨にかけての色っぽいラインがチラ見えてしまい――ぎゃああっと心の中で悶絶してしまう。

あーダメダメ! 煩悩退散、煩悩退散……
ひたすら頭の中で唱えていると、彼はその間にテキパキと絆創膏を貼り終えたようだ。

「はい、終わり」
「あ、りがとう……」

はやっ。
意識してるのはあたしだけってことか。

赤面した顔を伏せて、深呼吸する。

さぁもういいよね。さっさと行こう。

「えぇと、いろいろありがとう。じゃ、あたしは帰るね」

声が上ずらないように注意しつつ言い、さりげない調子で立ち上がる。
しかし、案の定というか。

「は? 帰る? 泊っていくんじゃないのか?」

眉をひそめた彼に咎められ、舌打ちしたいのをぐっと堪えた。

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