謎のイケメンニートが「オレに任せろ」とか言ってくるんですが、大丈夫でしょうか?
やっぱりカン違いじゃなかったの?
ほんとに嫉妬してた?
いやいや、待って。
一体どこに嫉妬する要素が――あぁ、もしかしてあれかな。
デートを断り続けてたことで、他に男がいるんじゃないかとか、変に誤解させてしまったのかも?
「別に、キョウの他に会ってる人なんていないわよ?」
「でも、気になるヤツはいただろう?」
なぜか断定的に言われて、え、と瞬いたあたしは、腕の中でもぞもぞと動いて彼を見上げた。
「気になるヤツ、って?」
「撮影の時、楽しそうに話してたよな。あの、ブランドの広報のヤツと」
「広報、って中里さん? え、ぇえええ?」
まさか、中里さんに嫉妬したの?
思ってもみなかった方向へ話が進み、唖然とするしかない。
だって、嫉妬って……それってつまり、あたしのこと……
「やっぱりああいうヤツ――普通にスーツ着て、ちゃんと昼間の仕事してるサラリーマンの方が、女子は好きなんだろ?」
不貞腐れたようにも、自信なさげにも聞こえる声音に、あぁそういうことか、と納得する。
あたしに対する恋愛感情というより、中里さんに対する男としての対抗意識で嫉妬した、ってことね。
キョウもそんなこと気にしたりするんだ。
意外と普通の男子だったんだな。
「キョウも似合うと思うよ? スーツ」
「……いや、似合う似合わないってことじゃ……」
情けなさそうに眉を下げるから、なんだか笑っちゃった。
「わかってるわよ、キョウの言いたい事くらい。でも、その程度のことじゃない? 外見とかスペックなんて。スーツ着てるから、昼間の仕事してるから、イコールパーフェクト、ってもんでもないでしょ? 大事なのは中身なんだから」