謎のイケメンニートが「オレに任せろ」とか言ってくるんですが、大丈夫でしょうか?
夕方、洗い上がった下着を身につけたあたしは、もう一度浴衣を着こみ、彼の車で自分のアパートまで送ってもらった。
玄関先で、昨日彼が着ていた服が入った袋を手渡し――つと会話が途切れる。
「……夕食、食べてく?」
離れがたい想いで誘ってみるが、苦笑したキョウは首を振った。
「いや、止めとく。我慢できなくなりそうだから」
「我慢?」
首を傾げるあたしの耳元へ、彼がカオを寄せる。
「食事より、翠が食べたくなるってこと」
ぼんっとカオが熱くなった。
「翠の手料理は、次回のお楽しみにしとく」
「~~っ……」
無言のまま、多幸感にジタバタと身悶えた。
これってもはや、恋人同士よね!?
言いたい。
好きだって、大好きだって。ずっと傍にいてって。
そうしたら本物の恋人同士に……
「じゃあな、また連絡――」
「キョウ!」
踵を返そうとした彼の腕をとっさに掴んでしまった。
「ん?」
「またキョウの部屋行ってもいい? 手料理ご馳走する。あそこのキッチン、うちのより広くて使いやすそうだったから、2人で一緒にお料理しても楽しいし」