謎のイケメンニートが「オレに任せろ」とか言ってくるんですが、大丈夫でしょうか?
お店を出たあたしは、夏休みに突入して浮かれる学生や、ちらほら現れ始めた酔客を避けて歩く。
これからどうしよう?
そのホストが特定できれば一番いい。それは間違いない。
ただ――と、ぐるりと見渡せば、オレを見てとばかりポーズをとってキラリと白い歯を見せる写真があちこちに。
ホストクラブ多すぎなのよっ!
……まぁ新宿だからな。
ホストなんて職業、この街では珍しくもない――ううん、まだ決めつけない方がいいわね。藍の彼氏がホストかどうか。
たまたま付き合ってた相手がモラハラ変態男で、藍をキャバクラで働かせて搾取してたっていう可能性もあるわけだし……。
ちょっと待って。
もしかしてあの子、暴力なんて振るわれてないでしょうね?
それで彼の元から逃げ出して、未だに怖くて戻って来れないとか……
――強引に連れ戻しても、何も解決しない。また姿を消すのがオチだぞ。
キョウはどの程度藍の事情を把握してたんだろう。
まだあたしが知らない情報を持ってたりする?
彼に直接聞けたら断然早いのに……
やっぱり一度、連絡してみようかな。
「はぁっ」
重たくなった空気を散らすようにあたしはかぶりを振り――ふと、その存在に気づく。防犯カメラだ。