謎のイケメンニートが「オレに任せろ」とか言ってくるんですが、大丈夫でしょうか?
9. 突撃します。
【ちょっと話したいことがあるの。会えない?】
悩んで悩んで、とうとう連絡を入れたのが、10日ほど前だったかな。
あまり期待はしてなかったのに。
翌日返事が届いてることに気づいた時は、かなり気分が浮上した。
けど――
【ごめん。今ちょっと忙しいから】
取り付く島もない、文字オンリーのそっけない拒絶。
まぁ、あたしも“久しぶり”とか“元気?”とか、全体的にもっと言葉を飾るべきだったのかもしれない。
けれど、その時点ですでにそんな余裕なんてなく。
【先週の金曜日、〇〇駅にいたよね? 目が合ったでしょう】
【藍と一緒だったよね?】
【どうして藍が東京にいるの?】
【返事してよ!】
どうしても我慢できなくて、怒涛のようにメッセージを送ってしまった。
結果は、ものの見事にすべて既読スルー。
やっぱりあの夜キョウが一緒に歩いていたのは藍、で間違いないと思う。
違うなら、一言そう言えばいいだけだもの。
好意的に考えれば、キョウはあたしに代わって藍を保護してくれていた、と言うことなのかもしれない。
ただ、その場合は別の疑問が沸く。
藍が東京にはいないって、あたしに思わせたのはなぜ?
都内のどこかに匿ってるなら、そう言えばいいでしょ?
あたしに会わせたくなかった?
何か、不都合なことでもあるの?
坂を転げ落ちるような勢いで膨らんでいくのは、彼に対する不信感だ。
もしかして……そもそもから違う、ってことはないだろうか。
藍は失踪なんかしてなくて、最初からキョウのところにいた。2人はもともと知り合いで、キョウはあたしを藍の姉だと知っていて近づいた、とか。