謎のイケメンニートが「オレに任せろ」とか言ってくるんですが、大丈夫でしょうか?
「お先に失礼しまーす」
「お疲れー」
「お疲れ様―」
幸い、イラストレーターさんは在宅中でつかまえることができ、修正イラストは思ってたより早く仕上げてもらえた。
イラストを入れ替え、再度カンプを提出。どうにか定時で上がることができた。
本当のことを言うとまだやるべき仕事はあったし、実際奈央は残業するらしいが、彼女がそれ以上残ることを許してくれなかったのだ。
疲れてる時は何をやってもはかどらないよ、って。
ここ最近集中できてないこと、それがキョウ絡みだってことも……たぶん、見抜かれてそう。
肩を落として、重たい足を前へ運ぶ。
今夜はこのまま帰りたくないな。
まだ全然早い時間だし、どこかで食事して、ついでに飲んでいこうか。
無性に酔っぱらいたい気分になったあたしは、そう言えば代々木の方に新しい隠れ家ダイニングがオープンしたって奈央が言ってたなと思い出し、そちらへ足を向けた。
ちょっと歩くけど、騒がしい場所よりはよさそうだ――ととぼとぼ歩くこと、30分。
「あれ、ここ……どこ?」
あたしは、完全に道に迷っていた。。。