謎のイケメンニートが「オレに任せろ」とか言ってくるんですが、大丈夫でしょうか?

「…………」

あたしは一呼吸おいてから、テーブルへと落としていた視線をゆっくり持ち上げた。

「……わかった。ちゃんとはっきりさせる」

「おう、それがいい。警察、一緒に行くか?」

田所の申し出に、あたしは「ううん」と首を振った。

「まずはキョウに疑問をぶつけて、2人で話し合ってみる」

強めに言って、「一人で大丈夫か?」と心配する声にもきっぱり頷いた。

「田所も言ってたでしょ。相手の素性はわかってるから、向こうは逃げられないし滅多なことはできないと思うの。だから不意打ちして、知りたいことを直接聞いてみる」

自分に言い聞かせるように言えば、それがベストだって気になってきた。

例えば……今からとか?
店内の時計を確認すれば、まだ21時前。
遅いぐらいの方が在宅の可能性は高いかもしれない。

「決めた。あたし、これからキョウのところに行く」

「えぇっこれから!?」

驚く田所を尻目に慌ただしく残りのビールを飲み干し、「あとの料理、食べてねよろしく」とお金を多めに――遠慮する田所に無理やり――渡して。

「じゃ、週明けにまた報告するね」

カバンを掴んで、思い立ったが吉日、善は急げ、とお店を飛び出したのだった。

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