謎のイケメンニートが「オレに任せろ」とか言ってくるんですが、大丈夫でしょうか?

日本語が聞こえてるはずなのに、理解ができないって、こんなことある?

「あなたの、ものになるって……」
「言葉通りだ。もちろん据え膳は食わせてもらう。遠慮なくな」

頬が自然と熱を帯びるのがわかった。
この人、あたしを抱くって言ってるんだ。
つまり、あたしの身体を三千万で買うってこと……? えぇええ?
本気で言ってるの?

そりゃ男性は、恋愛感情がなくても抱ける、のかもしれないけど……


「おいおいちょっと待てやお兄さん、初対面の女のために三千万って、正気なのか!?」

「正気に決まってる。むしろこんな美女を自分のものにできてたった三千万なんて、申し訳ないくらいだな」

な、なんなのこいつ……どんな金持ちよ!
出てくるセリフが一般人と違いすぎ。

相当遊び慣れてそう。
セフレとガールフレンドが2、30人くらいいるのかもしれない。
その、31番目にならないか、って誘われてるわけね?

でも、どうしてあたしなんか……お金持ちの気まぐれ?


「で、どうする?」

状況をなんとか把握したところで、再度促すように尋ねられて、とっさに外した視線をうろつかせる。

もし彼が本気だとして。
そして、本当に彼が本物のお金持ちだとして。

正直なところ、かなり魅力的な話だ。

このままいくと、きっと別店舗とやらで働かされて、不特定多数の男の相手をしなきゃならないのはほぼ確定。
それが彼一人でいいんだもの。

別に、もう処女ってわけでもないし、あたしが我慢して済む話なら――……ただ、と首元にそっと手をやり、優から贈られたネックレスに触れる。
去年の誕生日にもらったプレゼントだ。
すごく気に入ってて、お守りのように毎日身につけている。

「あの、あたし、付き合ってる、人、が……」

< 16 / 246 >

この作品をシェア

pagetop