謎のイケメンニートが「オレに任せろ」とか言ってくるんですが、大丈夫でしょうか?
茶髪のミディアムヘアに様変わりしている。
そして、にんまりと笑う彼女の手にはピンク色の頭髪が……え、え、えぇえ?
カツラだったの!?
「あぁああなた、その髪っ!! 相馬藍じゃないのね!? みんなグルになって私を騙してたのね!?」
ホラー並みのおどろおどろしい憤怒の目が、ギロリと再びあたしを睨む。
キョウがしっかり支えててくれなかったら、腰を抜かしていたかもしれない。
「相馬藍はどこっ!? あの女狐っ! スマホはどこにあるのよおおおおっ!!」
スマホ??
一体なんのこと?
さっぱりわからない、けど。
白井夫人の狙いが藍だったことは、どうやら間違いないみたい。
それってつまり、どういうこと?
白井夫人と藍、2人の間に何があったっていうの?
まさか藍の失踪に夫人が関わってる、なんてことある?
混乱の極みの中で必死に考え続けるあたし。
いくつもの台詞が、言葉が、浮かんでは消えていく。
――あんたたち姉妹が誘惑したせいよっ! 全部全部、あんたたち姉妹のせいなのよっ!! この悪魔っ!! 疫病神!!
――よくも! よくも! あんたの! あんたたちのっ! せいで! 優ちゃんはぁあっ!!
――ごめんね、お姉ちゃん。探さないでください。
やがてぼんやりと、一つの仮説が形を成し始める。
「っ……」
あたしはたまらず、目の前にあるキョウの胸へ、縋るように顔を埋めた。
それがとても、不快な仮説だったから。