謎のイケメンニートが「オレに任せろ」とか言ってくるんですが、大丈夫でしょうか?

その後、キョウの言葉通り警察が到着。
彼は簡単に事情を説明してから、あたしを病院へ連れて行くと言い訳して、そこから連れ出してくれた。

「じゃあね、翠ちゃん。また今度、女子会しましょー♪ 京吾、翠ちゃんに無理させんじゃないわよ!」
「うるせぇなっ!」

「またお会いしましょう相馬さん。京吾のこと、よろしくお願いします」

「え、は、はい……?」

京吾、っていうのがたぶんキョウの本名なんだろう。
3人、仲良さそうだな。

特にあの茶髪の彼女。キョウと並んでも引けを取らない、周囲を惹きつける太陽のように天真爛漫な美貌が眩しい。

まさかキョウのガールフレンドの一人、だったり?
あるいは、本命――チクリと胸を刺した嫉妬をぶるっと振り払う。

そんなのどっちでもいいじゃない。
あたしにはもう関係ない話だし、今はそんなことを考えてる場合じゃない。

無理やり自分へ言い聞かせたあたしはぺこりと頭を下げ、キョウに続いてその場を後にした。


◇◇◇◇


「……藍が付き合ってた相手って、優なのね? あの子の借金も、もしかすると優のためだった?」


キョウが運転する車で病院へと向かう道すがら。
2人きりの空間が気詰まりで何を話していいのかわからなかったこともあり、あたしは早々にさっき思いついた仮説について切り出した。

運転席から流れてきた気遣わし気な視線は無視して、構わず続ける。

「白井さん、すごい剣幕で『あんたたち姉妹が誘惑した』、って言ってたの。……優を、ってことでしょう?」


――あんたたち姉妹が誘惑したせいよっ! 全部全部、あんたたち姉妹のせいなのよっ!! この悪魔っ!! 疫病神!!

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