謎のイケメンニートが「オレに任せろ」とか言ってくるんですが、大丈夫でしょうか?
どうしてこんなことするの?
自分のものだと思ってた女が逆らったことが許せない?
都合のいい女は、やっぱり傍においておきたい?
あたしの代わりなんて、他にいくらでもいるでしょう?
もうあなたに振り回されたくないのっ。
頭の中はぐちゃぐちゃで、限界だった。
「っ、好き、……」
漏れる嗚咽と呼応するように、懸命に押し殺していた感情がガラガラと音を立てて決壊していく。
「好き、そうよ、好きになっちゃったのっ……! キョウの嫌いな“余計な期待しちゃった”カン違い女よ。どう? あたしのこと嫌になったでしょ!?」
キレた子どもみたいにドヤ顔で叫んで。
滲む視界越し、精いっぱい力を込めて睨みつけてやった。
「…………ふっ」
……え?
「な、何よ、なんでそんな笑ってるの? 何がおかし――んんッ」
気づいた時には唇が塞がれていて、抵抗する間もなく舌が入ってくるからこっちはもうパニックだ。
「やめっ……ん、ぁ、……」
逃げ惑う舌を、熱すぎる彼のそれにザラリと絡めとられる。
激しいのに優しくて。
強引なのに官能的で。
自分よりもあたしの快感を優先するような濃厚な口づけに気持ちはぐらぐらと揺れ、新しい涙が再び頬を濡らしていく。
「どうし、ってっこんなキス、するの? ……こんなの、ますます好きになっちゃ――」
「好きだ」