謎のイケメンニートが「オレに任せろ」とか言ってくるんですが、大丈夫でしょうか?
偶然の出会いを経て、たまたまお互いの条件が合ったから身体を重ねて。
そうしたらなぜか彼はあたしを気に入ってくれて。
でもあたしたちって、たった数か月の付き合いなのよね。
あたしは彼のこと、ほとんど何も知らない。
それで今の好意が気まぐれじゃないって、どうして言える?
もしこの先、絶世の美女が彼の前に現れたら?
あるいは、高橋さんが彼を奪いに来たら?
勝てる気なんて全然しない――
「オレのことを信じきれない、ってカオだな」
図星を刺されてギクリと顔をあげれば、その精悍な頬に苦い笑みが浮かんでいた。
「言い訳したいこともたくさんあるが、散々遊んできたのは事実だ。今更信じてほしい、って言ったところでそりゃすぐには無理だよな」
「ご、ごめん、なさい」
「謝る必要はないさ。自業自得ってヤツだ。この展開はある程度予想してたし、オレが今夜話したかった本題もそこだから」
本題?
なんのことかと首を傾げるあたしを、「こっちだ」といきなりキョウが掴んだ。
そして。
「オレが本気だって、その証を見せる」
そう宣言するなり、カギを開けたドアから玄関の中へ。
「え、ちょちょっと!?」
戸惑いの声を上げるも、彼の足は止まってくれなくて。
こちらも慌てて靴を脱ぎ、引きずられていくしかない。
やがて廊下は終わり、「散らかってるけど」と室内へ促された。
散らかってる?
そもそもインテリアらしいインテリアもないのに、一体どこをどうすれば散らかせるっていうの?
社交辞令的なものだろうかと、話半分に相槌を打って足を踏み入れたあたしは――
「なっ……えぇっ!?」
絶句した。