謎のイケメンニートが「オレに任せろ」とか言ってくるんですが、大丈夫でしょうか?
全然カッコ悪くなんてないよ。
最高だよ。
ここまでしてくれた彼の気持ちを、どうして疑える?
拒絶できる?
彼との出会い、身体を重ねて、惹かれていった日々。
嫉妬で苦しんで悩んだ日々。
そのすべてが鮮やかに蘇り、視界が潤んでいく。
あぁどうしよう。
今度は嬉しすぎて、また泣いちゃいそう。
「もちろん返事は、ちゃんと指輪ができてからでいいんだけど……」
彼が待ってる。
早く返事したいのにっ……
「っ……」
高ぶる感情を宥めようと、うつむいて一生懸命深呼吸するあたし。
ところがキョウはそんな様子に不穏なものを感じたのか、やや焦ったようにあたしの両肩を掴んで来た。
「み、翠? もしオレがニートってとこを心配してるなら、全然大丈夫だぞ? 貯金がないわけじゃないし、翠に金銭面で苦労させたりなんてしない。実はオレ、黙ってたけど――」
いつも余裕ぶってる彼が必死になってるの、ちょっとレアで可愛いかも。
ふふ、って笑っちゃいながら、そのまま彼を床に押し倒す勢いで抱き着いた。
「ぅわっ!」
「そんなこと全然気にしてない」
しりもちをついた彼の頬へ手を伸ばして、視線を合わせる。
「お金なんて、どうにでもなるもの。ごめんね、ちょっと嬉しすぎて幸せすぎて、言葉が出てこなかっただけ」
そう。お金なんて、スペックなんて、問題じゃない。
メガバンク勤めだって、クズ男はいるわけだしね。
「指輪、楽しみにしてる」