謎のイケメンニートが「オレに任せろ」とか言ってくるんですが、大丈夫でしょうか?
情報を得たオレは、侑吾のサポートで藍の捜索を開始。
ほぼ同じころ、監視をつけていた翠が見知らぬ男に拉致されたことを知る。
男が、黒沼――藍のバイト先のオーナー――の部下であることはすぐに判明し、慌てて後を追う。
行先は銀座にある会員制の高級クラブだったが、幸い以前知人の紹介で来たことがあったため、すんなり入店できた。
どうやら、藍は黒沼から借金をしていたらしい。
間違いなく白井に渡すための金だろう。
妹の代わりに三千万もの返済を迫られた時の翠のショックは、隣のブースにいても手に取るように伝わってきて、胸が痛んだ。
『す、優? 聞こえてる? あの、無理なら全額じゃなくても――』
あぁ、白井にも断られたか。
三千万、と聞いた時点で相手は藍絡みだと気づいただろうから、関わろうとするはずはない。
『どうしても無理なら、あんたが妹の代わりに働くっていう手もあるな』
その後も容赦なく迫る黒沼。
ブチキレそうになる自分を宥め、どうやって彼女を救い出すか、と思考を巡らせた。
三千万程度すぐに用意はできるが、初対面の男からの援助など彼女の方で受け取ってくれないだろう。真面目な性格は、なんとなくわかっている。
じゃあどうする?
藍の友人、とでも名乗ろうか?
いや、藍の恋人だと変に誤解されたくない……。
ぐるぐると考えている間に、事態は悪化していたようだ。
『気の強そうな女を見ると、その鼻っ柱をへし折って、俺の前に這いつくばらせてみたくなるんだなァ……』
下心満載の声が聞こえ、カッと頭に血が上る。
怒りに駆られるまま、オレの身体は勝手に動き出していた。
「なんだか面白そうなことやってんな」