謎のイケメンニートが「オレに任せろ」とか言ってくるんですが、大丈夫でしょうか?
「ぁっ――や、やだっ……ぁ」
それから数時間後、オレはキングサイズのベッドの上で、滾る本能のままに彼女の身体を貪っていた。
最初の計画はどこへ行ったのかって?
まぁなんというか、予定は未定というか……ゴホン。
一緒に過ごす時間が楽しくて、ついついもう少しだけ、と帰るタイミングを失い、ホテルの部屋へ一緒に入ってしまったのがいけなかった。
急用ができたから帰る、とオレが言う前に責任感の強い彼女は「お先に」とさっさかバスルームへ入ってしまった。
彼女は本気だ。
本気でオレに抱かれようとしている。
今まで誰のことも興味はなく、執着しなかったオレが、唯一もう一度逢いたいと願った人。苦しみから救い、笑顔を見たいと願った人。
そんな相手が、自ら美味しいエサとなり、食べてくれと獣の前に横たわろうとしている。
その事実に、未だかつてないほどの興奮を覚え――……まぁわかりやすく言えば、オレは自分の欲望に負けたのだ。
「嫌、じゃないだろ? ほら、こんなに悦んでるくせに」
卑猥に囁いて腰を打ち付けるたび、白い喉がのけぞり、まろやかな乳房が眼前で揺れる。
あぁくそっ……なんでこんなにエロいんだよっ……
『萎える』とか言われたって? 白井だろうか。
ふふ、だとすればあいつは知らないわけだ。
ベッドの上でこんなに淫らに踊る、美しいこの女神を。
そして、この先も二度と知ることはない。
絶対に復縁なんてさせないからな。
「もっと素直になれよ。気持ちいいって、言えばいい」
もっと啼かせたい。
喘がせたい。
気持ちいいと言わせたい。
抱いても抱いても、まだ足りない。
もっともっと……
結局朝まで翠を抱き潰したオレは、朝日に照らされた彼女の寝顔から目を逸らし、手早く身支度をする。
このまま起きるまで待っていたら、彼女の意志も体力も無視してもう1度盛ってしまいそうだったからだ。
ちょっと、マズいかもしれない。
経験したことのない浮かれた鼓動のリズムに微かな危機感を覚えつつも、無理やり気のせいだと結論付け、オレは部屋を後にした。