謎のイケメンニートが「オレに任せろ」とか言ってくるんですが、大丈夫でしょうか?

「へぇ……オレに抱かれてる時に、考え事か? まだまだ、物足りないってことだな」

不穏な台詞とともにあたしの耳たぶを弄びながら、揶揄う様な視線が至近距離でこちらを見つめる。
眇められた瞳の、危険な輝きにクラリと眩暈がした。

「ち、違っそんなこと思ってな――きゃあっ」

再び強く腰が進められ最奥まで穿たれて、自分のものとは思えない甲高い嬌声があがる。

「安心しろ。朝までまだたっぷり時間はある。じっくり、期待に応えてやるよ」

逃げを打つ腰を押さえつけられ。
胸の膨らみを押しつぶす勢いで重なってくる逞しい身体。

「っ、っ……!」
もはやあたしは言葉もなく、しがみつくしかない。

怖い。
激しい。
なんなの、この熱量は。

今まで経験してきたセックスがおままごとに思えるほど、彼から与えられる快楽は淫らで苛烈で。
嵐のようにあたしを巻き込み、終わりの見えない絶頂へと追い上げていく。

まさかこんなことになるなんて……あの時はまだ、考えもしてなかった。

白く霞んでいく意識の片隅で、あたしはぼんやりと記憶を巻き戻す。

ようやく春めいてきた、3月中旬のあの頃――今思えばその時すでに、すべては密やかに動き始めていたのだ。

あたしの運命を、巻き込みながら。

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