謎のイケメンニートが「オレに任せろ」とか言ってくるんですが、大丈夫でしょうか?
今まで感じてきた独占欲、嫉妬、多幸感、欲望……彼女を巡るすべての感情が、ずっとそこにあったたった一つの事実を鮮やかに照らし出す――オレは、翠を愛してる。
「誰かと一緒に食べるのが楽しいんじゃなくて、翠と一緒に食べるから、楽しいんだ」
「え」
「翠、オレ――」
翠以外、何も目に入らなかった。
彼女への想いが、衝動のままに口から溢れて、こぼれそうになった。
その時。
ひゅーぅるるるるるっーーー………
ドーンドーーーンッ!!
ドンドンドン!! パンパンパパッ………
「わっ始まった!」
一世一代の告白は、花火にかき消されて届かなかった。
一瞬落ち込んだが、豪快に打ちあがる美しい花火を見上げているうちに、まぁいいかと思い直す。
彼女との距離は、かつてないほど近くなっている。
気持ちを伝えるくらい、いつだってできるだろう。
どうせなら彼女に似合うジュエリーを、告白と一緒にプレゼントする、っていうのもいいかもしれないな。
指輪がいいだろうか。
それとも、ネックレス? あぁピアスもいいな。
一旦考え出すと、頭の中には新しいアイディアが次々と花火のように浮かび上がり、オレは思わずうっとりと夜空を眺めたのだった。