謎のイケメンニートが「オレに任せろ」とか言ってくるんですが、大丈夫でしょうか?
昨夜、寝る前に藍に送ったメッセージ――【お金のことは心配いらないから、とにかく一度連絡して。待ってます】――に既読がついていることに気づいて、思わず叫んでしまった。
どこかでこのメッセージを読んでくれたってことよね。
無事なんだ、よかったぁ。
ホッと全身から力が抜けた。
きっとあの子なりにめちゃくちゃ悩んでるんだろうな。
三千万も借金して、平気でいられるような子じゃない。
相談、してくれる気になればいいけど……無理やり問い詰めたところで、余計に殻に閉じこもっちゃうかもしれない。
意外と頑固だから。
ここは、藍を信じて待ってた方がよさそう。
きっと大丈夫、大丈夫よ。
独り言ちて自分を無理やり納得させると、気持ちを切り替えて再びスマホ画面へ目を落とす。
もう一人、メッセージを送るべき相手を思い出したからだ。
――あぁそれから、1週間以内に彼氏と別れておいて。
セフレが30人もいるとは思えないくらい(←妄想)、律儀よね。
昨夜そのままラブホに直行しなかったのは、あたしがまだ彼氏持ちだから、ということだったみたい。
強引な言い方には若干反発を覚えるものの、こっちに拒否権があるわけじゃない。あたしは三千万で買われた身なのだから。
【今日時間ある? 話したいことがあるの】
気持ちが揺らぐ前にと、一気に優へメッセージを送り、ふぅ、とスマホをベッドの上へ放り投げた。
別れ話、スムーズにいくかな。
今までは自然消滅くらいしか経験がないから、いざこちらから切り出すとなるとなかなか緊張する。
浮気とか、具体的な理由があれば……あぁ、疑ったことは何度かあったっけ。
でもあれは、同じ部署の部下だったのよね。
ま、ゴネられたら、正直に全部話しちゃえばいいか。
一緒に三千万用意する方法を考えてくれるなら、キョウに頼らずに済むわけで……。