謎のイケメンニートが「オレに任せろ」とか言ってくるんですが、大丈夫でしょうか?
来るもの拒まず、去る者追わず。
何も求めず、執着しない。
そんな今までのモットーに反する結婚という形を自分が選んだことに、小さくない戸惑いを覚えるのも事実だ。
ただ……彼女と出会って学んだことがある。
人の感情は、理屈で動かせるものじゃないってこと。
求めない、執着しない、といくらオレが決めたところで、出会ってしまったら仕方ない。
コントロールなんてできやしないんだ。
そしてオレは、出会ってしまった。
理屈じゃない。
本能が求めるたった一人の女性に。
だから彼女を囲い込んで自分のものにしたくなるし、諦めたくないと足掻く。
それはごく当然のことで。
執着の完成形、到達点である結婚という道を選ぶのも、同様に当然のことなんだ。
そりゃまぁ、ニートにプロポーズされて喜ぶ女性がいるかどうかという一抹の不安は過るものの……いや、ニートはもう卒業するんだから問題ないか。
てことで、今プロポーズしてもいいよな?
遠からず必ずすることになるんだし。
オレは開き直ったような気持ちで、ひたすら最高のエンゲージリングを作るべく、没頭していった。