謎のイケメンニートが「オレに任せろ」とか言ってくるんですが、大丈夫でしょうか?
『母親なら、こんな今時子どもでもやらない嫌がらせで庇うんじゃなく、自首を勧めるべきだと思いますけど?』
『何を言うのよ? まるで優ちゃんが悪いみたいなっ……』
『悪いっていうより、犯罪そのものですよね? あなただってわかってるでしょう?』
『バカなことを言わないで! 優ちゃんは悪い女に騙されただけなのよっあの子は被害者なの! 母親なら、子どもを守るのは当然でしょう!』
『あぁ毒親ってやつですねー』
『なんですってぇええ!?』
おいおい、華。
ちょっと挑発しすぎだぞ。
これじゃ話を聞き出すより前にキレて、何をしでかすかわからない――っと、あぁほら、言わんこっちゃない。
予想が当たった。
白井母が、持っていたカバンからギラリと光るものを取り出すのが見え、オレは頭を抱えた。
だからあれほど気をつけろと……まぁ華なら大丈夫か。
護身術のクラスで――セレブの高校にはそういう科目があるのだ――男子(オレや篤史も含む)を押しのけていつもぶっちぎりのトップだった彼女なら。
そう思っていた、のに。
『そんなもの出したら、あなたも一緒に逮捕されちゃいますよ?』
『うるさぁあいっ! とっととスマホを寄越せばいいのよっ!!』
叫んだ白井母が、ナイフを持つ手とは反対側の手を、華へ向けた。
あれは……なんだ?