謎のイケメンニートが「オレに任せろ」とか言ってくるんですが、大丈夫でしょうか?
「翠」
「………」
彼女が欲しい。
オレのものだと確かめたい。
今すぐ、抱きたい。
無言のまま物欲しげに見つめてしまうオレに、キラキラと輝く瞳が応えてくれて……あぁもう我慢できない……
2人の唇が、互いを求めて近づいていく――
「はいはーい、そこの2人! 2人だけの世界に入るのはちょっと早いんじゃないのー? ギャラリーいること忘れないでねぇえ?」
「邪魔するなよ。いいところで」
チッと舌打ちが漏れた。
空気を読んでくれ、頼むから。
「京吾、華はともかく、相馬さん病院で診てもらった方がいいんじゃないか?」
「あぁ、そうするつもりだ。警察が到着したら、後の対応は篤史と華に任せていいか?」
「もちろん」
その点、篤史はさすがだ。
グッジョブ。
早く翠と二人きりになりたいというオレの願望をよくわかっている。
「ちょっと篤史! 私はともかく、ってどういうこと!?」
ぎゃんぎゃん抗議してくる華は放っておく。
スプレーは一過性の効果しかないものだったようで、すっかり元気そうだし。
彼女の場合、家に帰れば母親がいるしな――と、そこで。
翠はようやく白井母を押さえている男が篤史だということに気づいたらしく、目を丸くしている。
「ちょ、キョウっこれは一体どういうことっ?」
苦笑しながら高校時代のクラスメイトだと教えてやると、目を丸くしてアワアワしてる。そんな表情も何もかも全部が可愛くて、1秒でも早く抱きしめたくて。
白井母が何やら喚いていたが、ほとんど耳に入ってこなかった。