謎のイケメンニートが「オレに任せろ」とか言ってくるんですが、大丈夫でしょうか?

白井母が藍をつけ狙っていたと知ったせいだろう。
藍と白井(元カレ)がデキていたことは、翠も察したようだ。

詳細は、後日妹と直接話し合ってもらうことにして、オレは翠に診察を受けさせた後、再びマンションへ戻って来た。
すべてが片付いたらプロポーズする、そう決めていたし、今がその時だと思ったから。

「やっぱり、止めとく。話ならここで聞くから」

だから、室内に入ることすら拒絶された時には、かなりショックだった。
しかも――

「こういうの、よくないよ。恋人でもない女、こんな夜中に部屋に上げるとか。婚約者が知ったらいい気はしないし、絶対誤解すると思う」

……は? 婚約者? なんのことだ?
訳のわからないことを言い出され、返事に困ってしまう。

「もう隠さなくていいわよ。キョウの本名は、霧島京吾。ご両親は、霧島建設の社長と女優の花坂雫。でしょ?」

どうやらオレの正体はすでにバレていたようで、まぁそれはいい。
ただ、そこからどうしてかオレに婚約者がいると勘違いしていたらしい。

我ながら必死になって、それはおそらく兄貴の相手だと説明する。
翠もそれで納得はしてくれたようなのだ、が。

「キっキョウとの関係は、やっぱりこれで終わりにしたいの。お金は、さっきも言ったように藍と一緒に少しずつ返していくから」

告白もさせてもらえないまま突きつけられた“終わり”の宣告に、目の前が真っ暗になった。

何がいけなかったんだろう。

無職ってところ? 親の脛かじって生きてるところ?
女好きで、セックスが激しすぎるところ?

あぁなるほど。
問題だらけ、っていうか問題しかないな!

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