謎のイケメンニートが「オレに任せろ」とか言ってくるんですが、大丈夫でしょうか?
ショックの余り言葉もなく、呆然と立ち尽くすオレ。
するとその間にも翠の声は続き、それを自動的に耳が拾っていく。
「あたしだって普通の女子なのよ? 好きな人には自分だけを見て欲しいって思うし、自分だけを愛して欲しいって思う。大勢の中の一人なんて、もう耐えられない……っ」
…………ん?
…………んん? 待て待て、ちょっと待て?
今、なんて言った?
“好きな人”?
それを指摘すると、彼女のカオが燃えるように赤くなった。
えーと……これはもう決定、では?
「翠はオレが好き、ってことでいいか?」
押し寄せる歓喜を隠せないニヤついたカオで彼女をドア際に追い詰め、腕をついて閉じこめる。
すると。
「っ、好き、……好き、そうよ、好きになっちゃったのっ……! キョウの嫌いな“余計な期待しちゃった”カン違い女よ。どう? あたしのこと嫌になったでしょ!?」
あぁ、そうか。あれか。
最初に、好きになられると面倒、みたいにオレが言ったから、それで自分を責めていたわけか。
好きにならないようにしてたのに、好きになってしまったから?
あー……可愛すぎ。
なんだよ、この気持ち。
泣きたいような、笑いたいような、叫びたいような。
幸せ過ぎて、身体がふわふわ飛んでいきそうだ。
「な、何よ、なんでそんな笑ってるの? 何がおかし――んんッ」
胸が一杯で、上手く言葉が出てこない。
その代わり、とばかり彼女の唇へ想いを込めて口づける。
「好きだ。翠が好きだよ。愛してる」