謎のイケメンニートが「オレに任せろ」とか言ってくるんですが、大丈夫でしょうか?
盛大な拍手に包まれてショーはフィナーレを迎え、登場した全モデルさんを従えて、華ちゃんが現れた。
【本日は、お忙しい中弊社の新作発表会に足をお運びいただき、誠にありがとうございます。トワズ代表の高橋華子でございます。こうして無事に開催の日を迎えられましたことに、大きな喜びを――】
原稿も見ることなくマイクに向かって堂々と語る華ちゃんは、ピンク色のカツラをかぶって笑ってた姿からは想像もできないほど、自信と品格に満ち溢れている。
同性でも見惚れちゃうほど綺麗だ。
あの騒動の後、改めて挨拶させてもらったから、彼女が外見だけじゃなく中身も本当に素敵な女性だってことも知ってる。
こんな人がいつも傍にいるんだ。
キョウの、傍に。
そして彼はもう、ニートじゃない。
自分の才能に目覚めた今の彼なら、立派にパートナーとして彼女を支えられる……
【私の挨拶はこの辺りにして、ここで、このたび新たに設けました部署についてご説明させていただきます。後方のスクリーンをご覧ください】
彼女の言葉と同時に、スクリーンへトワズの組織図が映し出された。
華ちゃんの説明によると、新設されるのはオーダーメイド専門の部署。
ネットからいつでもどこでもオーダーでき、世界でたった一つだけのこだわりのジュエリーアクセを作れるという。
【それでは、新部署のチーフデザイナー・霧島京吾をご紹介します】
舞台袖から現れたキョウに、会場内からどっと黄色い声が沸いた。
彼はゆったりとした足取りでランウェイを進み、華ちゃんの隣へ。
彼女から譲られたマイクスタンドの前に立った。
強いライトが彼の全身を照らし出す。
【皆さん、初めまして。霧島京吾と申します】