謎のイケメンニートが「オレに任せろ」とか言ってくるんですが、大丈夫でしょうか?
【そしてそれは、私が初めて描いたデザインを元にしたネックレスだったのです】
キョウが初めてデザイン……?
【今までに感じたことのない充実感でした。こんな自分でも誰かを笑顔にできるのかもしれない。小さな、けれど確かな光を見つけた瞬間でした】
まさか、その彼女…………ぁああたしっ!?
じゃあ、あたしたちが初めて出会ったのは、黒沼のお店じゃなかった、ってこと!?
【以前の私は、ただ自分がいいと思うものだけを作ってきました。けれど彼女との出会いを境に、身に着ける人の存在を強く意識するようになりました。誰かをより美しく、より輝かせる作品を。そう言う風に、ジュエリーとの向き合い方が変わったのです。彼女との出会いがなければ、今夜、私はここに立っていないでしょう。ぜひこの場で、皆様に紹介させてください。私の最愛の婚約者である女性――相馬翠を】
会場内のゲストたちが一斉にどよめき、ざわつく。
けれど、そんな声はあたしに届かなかった。
【翠、おいで】
舞台上に立つ彼の視線が、あたしを見つめていたから。
こんなに大勢の人がいる中なのに、あたしだけを真っすぐ。
その眼差しは変わらない想いをはっきりと伝えていて、一瞬でも彼の気持ちを疑った自分を殴りたくなった。
バカだなぁ、あたし。
不安になることなんか、何もないのに……。
「ほら、翠ちゃん。行くわよ」
ふいに脇から声が聞こえた。
腕を掴まれ、引っぱられて、うっとりと彼に魅入っていたあたしは飛び上がった。
「は、華ちゃんっ?」
ぃいいつの間にっ!?