謎のイケメンニートが「オレに任せろ」とか言ってくるんですが、大丈夫でしょうか?
「キョウさん、こ、こんにちは。ごめんなさい、お待たせしちゃいました?」
ごちゃごちゃと考えていたことは、一旦隅へ押しやって、あたしは目の前に立つその人へペコリと頭を下げた。
「いや、翠は時間ぴったりだ。暇だったから、オレが早く来ちゃっただけ。さ、乗って」
艶やか、という形容がぴったりの微笑を浮かべて、キョウはさっと助手席のドアを開けてくれる。
親し気に呼び捨てにされた自分の名前にドキリと鼓動を騒がせつつ、
「……では、失礼、します」と中へ。
「頭気を付けて」
「は、はい」
乗り込む際には、その低い車体にあたしの頭がぶつからないように手で押さえていてくれて。
背後で見ていたギャラリーから「うわぁ」と声が漏れた。
うんうん、わかる。
さすが、女の扱いを心得てる男はやることがいちいちスマートでカッコいいよね。
でも、お金で買った女にもこんなサービスして、疲れないのかしら。
呆れ気味に考えつつシートベルトを閉めている間に、運転席へキョウが乗り込んで来た。
「まずこれ、忘れないうちに渡しておく」
さりげなく差し出されたのは1枚の紙。
「ええと、何ですかこれ?」
「中身読めばわかる」
言われるまま手に取り――ぐわっと両目剝いちゃった。
“完済証明書”という文字が視界に飛び込んで来たからだ。
「これ……っ」