謎のイケメンニートが「オレに任せろ」とか言ってくるんですが、大丈夫でしょうか?
1. 妹が失踪しました。
「……なんじゃこりゃ」
オフィスの自席で、何気なくスマホ画面をチェックした時だった。
目にした途端、思わずぽろっと声が出た。
校了前の周囲のざわつきに紛れて、あっという間にかき消されてしまったけれど。
【ごめんね、お姉ちゃん。探さないでください】
メッセージの差出人は、藍。つまり、あたし、相馬翠の妹だ。
定時って何でしたっけ、と言わんばかりにまだまだ大勢の人間が作業中の社内をぼんやり眺めつつ、彼女のトレードマークであるピンク色の姫カットヘアを思い浮かべる。
なんだなんだ、何ごと?
探さないでください??
家出??
いや、普通に実家を出て、東京で一人暮らししてるはずでは??
むむむ、と眉を寄せつつ、とりあえず返事を打つ。
【どうしたー? 校了過ぎたら話聞くから。もうちょっと待って】
今度は一体何だろう。
推しのアニメキャラが殺されたとかで、1か月音信不通になったこともある子だからなぁ。あの時は警察にも通報して、大変だったっけ。
(本人曰く、山寺に籠って推しキャラの魂を慰めてたらしい)
散々振り回された過去を思い返しながら送信したところで、背後に人の気配がした。
「みーどーりーちゃん♪」