謎のイケメンニートが「オレに任せろ」とか言ってくるんですが、大丈夫でしょうか?

さらっと返って来た言葉に、デザートと一緒に出された紅茶を吹き出しそうになっちゃった。

は? 何もしてない??

「え、仕事、してないってこと?」
「そ、無職。ニート」

に……にーと?

「あ、あぁええと、今流行りのリスキリング? 夢に向かって勉強中、とか?」
「いや別に。特に何も」

……は、ぁあああ??

「じゃああのお金はどうやって……」

「実家が金持ちなんだ。数千万程度なら、両親か祖父母に頼めばすぐに出してくれる」

「…………」

良い人? 神様? ぜ、前言撤回。最低のクズ野郎だ。
ホストよりヒモより、想像以上に悪かった。

「何だよ? 社長とかじゃなくてがっかりした?」

揶揄う様な声音。
気持ちを見透かされた気がして、気まずい思いで視線を泳がせる。

残念ながら、彼を非難する権利なんてあたしにはない。
そのお金で助けられたのは、他ならぬあたしなのだから。

「あは、は……、ちょっとびっくりはした、かな。も、もちろん感謝はしてるのよ? ただ、ご家族まで巻き込んで……どうしてそこまでしてくれるの?」

「あぁそれは、翠に一目惚れしたから」

「え」

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