謎のイケメンニートが「オレに任せろ」とか言ってくるんですが、大丈夫でしょうか?
「ほら、まだまだこれからだぞ? もっと口開けて」
「……ぁ、んっ……」
これまで経験したキスとは全く違う。
怖い。怖い。
まるで自分じゃなくなっていくみたいな……
軽いパニックに陥ったあたしは、襲われた小動物の本能のごとく、震える手で上にある身体を押し返そうと試みる。
ところが、察した彼によってすぐに阻まれ、返り討ちに遭う――バスローブの紐が一息に解かれてしまったのだ。
「キョ、キョウッ」
「そういえば、彼氏とはちゃんと別れてきた?」
グラスはどこかへ置いたんだろうか、自由になった彼の両手でゆっくり押し広げられていく襟元。
露わになっていく自分のデコルテ、胸の膨らみ、ブラとショーツ……
それらを為すすべなく視界の隅に捕らえながら、火照る顔を伏せるようにしてなんとか小さく頷く。
「そう。それはよかった」
満足げに言ったキョウの手が、あたしの胸元へ伸びた。
「下着、可愛いな。オレのために用意してくれたとか?」
カップの上からデザインをなぞるように優しく触れる。
視線をうろつかせつつ再び浅く頷けば、そのカオがふわりと嬉しそうに綻ぶのが見えた。
あ、よかった。
下着つけてて正解、だった。
ホッと息を吐いたのも束の間――
「わわっ」
いきなり腕が引っ張られた。