謎のイケメンニートが「オレに任せろ」とか言ってくるんですが、大丈夫でしょうか?
優と違って、キョウが全然あたしのプライベートに干渉してこないのも原因かな。
今日みたいに仕事が忙しかったり、女の子の日でデキない時はデートのドタキャンもあっさりOKだし。
デートの約束を取り付けるメッセージ以外のやりとりは皆無で、日常生活は全く束縛されないし。
最初はそういう関係の方が気楽だと思っていたのに……
この頃は、今頃他の女と会ってるのかもって、モヤモヤするんだよね。
なんだかすごく、おかしいんだ。
最近のあたし。
「――あれ、翠こんなところにいたの?」
「相馬さん、お疲れさまですー」
はぁっとため息交じりにまたコーヒーを一口飲んだところで、明るい声音が耳に届いた。
顔をあげれば、奈央と総務のお洒落女子・加藤茜ちゃんが連れ立ってこちらへやってくるところだった。
「おつかれ~」
手を振って、自販機でドリンクを選ぶ2人を眺める。
「はい、加藤ちゃん好きなの選んで!」
「えーほんとにいいんですか? 奢ってもらっちゃって」
「いいっていいって! ほんとに人が集まらなくて困ってたんだから」
「んーじゃあ……このミルクティーで」
あぁアレか。
生命保険会社の座談会風広告、出てくれるOLさんを奈央が探してたことを思い出す。どうやら加藤ちゃんがお友達に声をかけてくれたらしい。
「沢木さんはまたカフェオレですか? 好きですねえ」
「あはは、まぁなんとなく?」
ドリンクを手にした2人が付近の椅子に座り、場は即席の女子会っぽい流れに。
1フロアにすべての部署が集結してるせいか、こういう交流が自然に生まれるのもうちのいいところだ。