謎のイケメンニートが「オレに任せろ」とか言ってくるんですが、大丈夫でしょうか?

顔に熱が集まってくるのを感じ、急いで手を放す。

やだ……何してんのっ。
こんな、子どもっぽい真似……恥ずかし……っ

「あの、会うの、ひ久しぶりだからっ……もう少し、一緒にいたい、っていうかおしゃべりしたいなってチラッと思っただけ。でも全然気にしないで――」

パニックになって余計なことまで口走り、さらに動揺を加速させたあたしはあたふたと手を泳がせ――それを彼に掴まれて、ドキッと言葉を切った。

「……はぁ」

キョウは自分の両目を反対側の手で覆うと、大きく息を吐き出して顔を背けてしまう。

しまった、呆れてる。
何やってるんだ、めんどくさい女だなって――


「……頼むから煽るなよ」

らしくもない弱弱しい調子が聞こえ、あたしはぽかん。
え?

「せっかく、必死に今夜は我慢してやろうとしてるのに……っ」

「え? 何? よく聞こえなっ――きゃっ」

最後の方がよく聞こえず聞き返したのに返事はなく、代わりに掴まれた手を強く引かれて一緒に部屋の中へ。
そのまま、ドアの内側へ全身を縫い留められ、気づけば彼の口づけを受けていた。

「んんっ!?」

びっくりして半開きになった唇を割って、熱い舌が入ってくる。

頭は真っ白。
なのに……たぶん本能で、あたしは自分の舌を差し出していた。

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