謎のイケメンニートが「オレに任せろ」とか言ってくるんですが、大丈夫でしょうか?
「ふ、っ……ぁ」
お互いの舌を追い求め、淫らに絡め合う。
呼吸が追い付かないほど息苦しい行為が、逆に嬉しい。
彼もあたしと同じように、このキスを望んでいるって、錯覚できるから。
くちゅっ……ぴちゃ……
卑猥な水音が狭く暗い玄関スペースに満ちて、どれくらい経っただろうか。
「は、……ぁっ」
あたしを知り尽くしたキョウの手が、これじゃ足りないと蠢き始める。
期待に張り詰めた胸を強めにまさぐられ、ズクンと身体の奥が震えた。
「み、どりっ……」
劣情に満ちた低い音で呼ばれて視線を上げれば、こちらを険しく見下ろす双眸とぶつかる。
暗がりの中でもわかる、その獰猛な光に腰が砕けそうになりながら、この後さらにもたらされるであろう快楽を予感した身体が熱く蕩けていく。
「ベッドに連れて行っても……いいか?」
もちろん、あたしに否はない。
息を弾ませつつ頷き、「けど」となんとか付け加える。
「あの、シャワーは、浴びたい……かも」
「一緒に入っても?」
え? そそれは……
「えとっ……ちょっと。まだ、……」
「まだね。くく、OK。なら次回、楽しみにしとく」
そこまでの心の準備はできていない、という意味を汲み取ったのか、意味深に繰り返し、うっそりと微笑むキョウ。
こ、これは……次は逃げられなさそう。
「じゃあ入っておいで。オレは奥で待たせてもらう」
甘やかすような声音とともに腰を抱かれ、額に軽い口づけが落ちた。
もの慣れた彼の仕草に、チリ、と胸の奥が疼いたけれど……。
まだ形のないそのぼんやりとした感情のことはあまり深く考えないことにして、あたしは無理やり口の端を持ち上げ微笑んだ。