謎のイケメンニートが「オレに任せろ」とか言ってくるんですが、大丈夫でしょうか?
なんとキョウは、あたしたちのやり取りを最初から聞いていたらしい。
その少し前、窓越しにあたしの姿を見つけて、入店。
背後の席に座ってびっくりさせようとチャンスを伺っていたところへ白井夫人がやってきて、声をかけるタイミングを失ってしまったのだとか。
そんな説明を聞きつつキョウの車であたしたちはもはやお馴染みとなったシェルリーズホテルへ。
地下駐車場から直通エレベーターでエグゼクティブフロアまで、幸い他のゲストに会うこともなくたどり着き、いつも使っているスイートルームへ入った。
夕食は、もう外へ行くのは諦めてルームサービスかな。
それでいいよね。それよりまずは……
「キョウ、すぐ服脱いでお風呂行って。あたし、フロントにクリーニング頼んでくるか、ら……って、何してるの?」
彼の手がぷちぷちあたしのブラウスのボタンを外し始めたことに気づき、訳が分からずに瞬く。
「脱ぐのはキョウよ?」
「翠も脱ぐ」
「あたし? なんで?」
「一緒に入るから」
「一緒……?」
「風呂」
はいぃいいっ?
「はは、入らないわよっ」
ブラウスを脱がせようとする手から身体を引いて逃げようとするが、「入る。そういう約束だろ」と有無を言わさず腰を引き寄せられ、次はスカートのファスナーが下ろされてしまう。
「そ、そんな約束、なんてっ……」
――えとっ……ちょっと。まだ、……
――まだね。くく、OK。なら次回、楽しみにしとく。
え、あれ!?
絶句するあたしを、ふふんと鼻歌でも歌い出しそうな楽し気な微笑が見下ろした。
「ほら、観念して大人しく脱ぐ。それとも服のまま連れて行こうか。オレは構わないけど。びしょ濡れの着衣セックスっていうのも、エロくてソソるしな」
着、……はぁあ?
「ばっ……変態っ」
「なんとでも言え。男なんて大抵そんなもんだ。どうする?」
「ぃい嫌よ着たままなんてっ」
「じゃ、脱ぐ一択だな」
「でも、ちょ、待っ、やっ、えぇええっ」
あたしが羞恥と戸惑いでおろおろしている間に、キョウは一片の躊躇もなく服を剥いでいく。
そして、秒で自分も全裸になった彼によって、バスルームへ連れ込まれてしまった。