謎のイケメンニートが「オレに任せろ」とか言ってくるんですが、大丈夫でしょうか?
「あ、いつ?」
え、誰?
「“ゾッコン”だったんだろ?」
ぞ、ゾッコン?
白く霞んだ思考回路でなんとか繰り返し、そこでようやく、あぁと合点する。
優のことね。
そういえば、白井夫人がそんな風な勝手なこと言ってたな。
「どうって、別に――」
「っくそ、いや、言わなくていい。忘れてくれ、変なこと聞いた」
らしくもなく急に言葉を遮った彼は、荒っぽくあたしを抱きしめる。
え……どうしたの?
どうして優のことなんか気にするの?
そんなの、キョウにはなんの関係も……
え、まさか……、嫉妬?
いやいや、まさかね。
浮かんだ単語を、すぐに打ち消す。
あたしはキョウにとってたくさんいるセフレの一人。
それだけの関係のはず、だけど……
それでもやっぱり、多少は気になるんだろうか?
なんとなく彼の表情を確かめたくなって視線を動かしたところで、腰を掴まれ、性急にぐっと身体を拓かれる感覚。
「きゃ、ぅっ……!」
壁に押し付けられたまま容赦なく奥まで貫かれて全身へ狂おしい刺激が走り、思考回路がガタガタと音を立てて崩れていく。
後はもう、2人とも無言だった。
閉じた空間に響くのはただ流れ落ちる水音と、乱れて重なる2つの呼吸、肌のぶつかる音。
繰り返される律動はいつも以上に激しく淫らで、あたしはもう、何も考えられなくなってしまったのだった。