謎のイケメンニートが「オレに任せろ」とか言ってくるんですが、大丈夫でしょうか?
スタジオのセッティングが大体終わったところで、中里さんが撮影に使うアイテムを見せてくれた。
「わ、これが新作ですか! 素敵!」
ケースへ並んだそれに、女性陣は大歓声だ。
ネックレス、リング、ブレスレットがあり、それぞれカップルコーデできるようにメンズ用も揃っている。
ネックレスには幾何学模様をモチーフにしたようなチャーム。不規則にダイヤがあしらわれており、まるで万華鏡の模様のように美しい。
「メンズはチェーンじゃなくてレザー、ってところがポイントだよね。チャームも小さくなってるし。これなら男性でも気軽につけられそう」
奈央の言葉に「確かにね」と頷いて同意する。
レザーアクセなら、キョウにめちゃくちゃ似合うだろうな――と、思わず彼が身に着けているところを妄想してしまってから、いやいや、とすぐに浮かんだそれを打ち消した。
彼女とお揃いとか、そういうのは彼のガラじゃないよ。
恋人面されるの、嫌いだもんね……
ズキッと過った微かな胸の痛みから目を逸らすように、あたしは視線を中里さんへ移した。
「御社がメンズアイテム作るのって、珍しくありません?」
「珍しいどころか初めてですよ。以前から企画だけはあったんですけど、デザイナーがなかなかその気にならなくて。今回ようやく。気まぐれが過ぎるデザイナーで困ってます」
「へぇ、そうなんですね」
トワズのデザイナーかぁ。
こんな素敵な物を生み出せるんだもの、きっと才色兼備の芸術家なんだろうな。