謎のイケメンニートが「オレに任せろ」とか言ってくるんですが、大丈夫でしょうか?
『RRRRR……』
応答を待ちながらスマホ片手にスタジオ外の廊下へ出て、ふと考える。
そういえば、いつも連絡は彼からの一方通行。
こっちから電話なんて、かけたことはなかった。
今更だけど、なんか緊張する。
女が出たらどうしよう……。
っていうか、そもそも出てくれるかな?
彼女面されるのが嫌だってことは、束縛されるのが嫌ってことよね。
休んでる時に着信音で邪魔されるのって、嫌がるかもしれない。
でも仕方ないの。ごめんね、今回だけ!
今だけだから、お願い出て!
『RRRR……』
祈るような気持ちで待つものの、音は一向に途切れない。
気づかない?
それとも、わざと出ない?
まさか、ガールフレンドとイイ所だったり……
想像するなり胸の奥へきゅっと痛みが走る――そこで、ようやく通話が繋がった。
『……ん、はい、みどり?』
前触れもなく耳へと流れてきたのは衣擦れの音、そして寝起きっぽいハスキーな声。
いきなりすぎて、ひゃあああってスマホを落としそうになっちゃった。
ちょちょっと、いきなりその声は反則でしょ!
「ご、ごめんっ。寝てた?」
『あぁちょっとうとうとしてただけ。どうした?』
横に女が寝そべってたりしないでしょうね、って、まぁいいのいいの、そんなことは気にしない!
モヤッとしてしまう気持ちを抑えて、あたしはできるだけ落ち着いて状況を説明し始めた。