異世界でイケメンを引き上げた!〜突然現れた扉の先には異世界(船)が! 船には私一人だけ、そして海のど真ん中! 果たして生き延びられるのか!
第一章 海の上にぽつん
◇1 突然現れた扉
私は江口奈央、22歳の会社員だ。
独身で、彼氏もいない。まぁ別にいいんだけどさ。
今、私は実家暮らしをしている。と言っても一人暮らしではある。両親を1年前に亡くして、兄弟も親戚もいない。
だから、実家であるこの一軒家に一人で住んで維持しているという訳だ。まぁ、色々とあって忙しくて彼氏とか何だとかって後回しにしてたんだけどさ。会社の同僚から合コン行かない? とかって聞かれても全部パスしてたし。
だから、毎日毎日仕事に行っては稼いで稼いで稼ぎまくっているわけだ。
明日は久々の休みだったから、遅起きでもしようかな。なんて考えつつもお風呂に入ってからビールを飲んで。
そして、寝て起きて、発見した。
リビングに立っている、扉を。
「わぁお、なにこれ?」
突然現れた扉。その場所はリビング。
ウチとは違って、木で作られたなかなか見ない扉。
いや、おかしいって。何でこんなところに扉があるのよ。しかも壁に取り付けられているわけじゃなくて、ただ床に立ってるだけ。押しても倒れないから完全に床に固定されてしまってる。
まさか、いたずら? いやいやいや、こんないたずらあってたまるかよ。
「あ、鍵かかってない」
試しにドアノブを回してみた。簡単に回り、押してみる。と……
「……は?」
目の前には、リビングではなく何かの木で作られた部屋らしきものが広がっていた。
私は、そっと扉を閉めた。
「うん、夢だ。寝よ寝よ」
仕事はないんだから好きなだけ寝れるんだ。よし、寝よう。
おやすみなさい、と布団に入った。
「……いや、おかしいって」
ほっぺたつねっても、痛い。ちょっと強かったかも。ヒリヒリする。
後ろ側見ても何もない。ただ立ってるだけ。
また、そーっと開けてみた。さっきと同じく、部屋が広がってる。開けたまま後ろ側見ると、そのまま。ドアが開いていない。何とも不思議なものだ。
扉の中は……物音はしない。誰もいないのかな。
……入って、みる? いや、だって、気になるじゃない? こんな所に不思議な扉があって、知らない所に繋がってて、だなんて。
あ、泥棒って思われちゃうかな。でも仕方ないよね。だって、逆もあるわけじゃん。こっちに入ってこられたらたまったもんじゃない。
「よし、じゃあ、お邪魔しまーす……」
一歩、二歩と向こう側に入った。あれ、なんか、匂いがする。これは……磯の香り? と思っていたら、いきなり目の前に現れた。
ピコン、という音を立てて目の前に現れたもの、それは……
______________
STATUS
名前:なし Lv.1
船長:江口奈央
称号:なし
クルー:1人
______________
「……はぁ?」
え、なにこれ。何で船長の欄に私の名前があるのよ。いやいや、それより、これってシステムウィンドウってやつ? ありえないでしょ。あ、いや、もうこの扉が出現した時点でもうあり得ないこと起こっちゃってるんだけどさ。
船長、って事は……ここ、船? 磯の香りがするし。でも、揺れてなくない?
クルー一人って事は、じゃあこの船には私一人しかいないって事?
確かめてみなきゃ、と思い扉を閉めてこの部屋を散策。ベッドがあって、棚があって、机がある部屋だ。でも新品。
そして、この部屋に取り付けてあるもう一つの扉を、そぉーっと開いた。廊下があり、その向こうに上に上がれる階段が見えた。
部屋を出て、その階段を上がってみた。
目の前に広がったもの、それは……
「う、海だ……!」
目の前いっぱいに、海が広がっていた。ここは甲板らしく、海を一望できる。太陽の光が当たってキラキラしていてとっても綺麗。風も気持ちいい。
海だなんて、何年ぶりだろう。画面越しとかでしか見てないかも。
「この船の船長が、私って事は……これ、私の船!?」
見渡してみたけど、これ結構大きくない?
こんなに大きな船、私何にも出来ないよ。というより、何にも知らない。今は海の上にぽつりと止まってるみたいだけど、どうやって動かすのかも分からない。それに、もし大雨とか津波とか来た時どうしたらいいのかも。
そんな時、またさっきの音が鳴った。目の前に、またシステムウィンドウが表示される。
______________
STATUS
名前:江口奈央 Lv.1
職業:船長
称号:なし
______________
自動管理システム
自動防衛システム
______________
ほぉ、自動管理システムとは? 勝手に何かやってくれてる感じ? すごいすごい! しかも防衛システムって、守ってくれるって事!? この船優秀じゃない!
それから、私は船内探索を始めた。沢山お部屋があって、ちゃんとした家具も揃っていた。
キッチンもあって、トイレもあって、お風呂もあった。しかも大浴場だった。凄くない? でも、じゃあ水は? と思ったけれどちゃんとした綺麗でおいしい水が蛇口から出てきた。
しょっぱくなかったから、きっと海の水を真水に変える機械か何かがあるんだと思う。
勿論、システムウィンドウ通り誰とも会わなかった。本当かな、隠れてたりとかしてないのかな、と思ったけど……システムウィンドウはいないって言ってるから、たぶん大丈夫!
さて、これからどうしたものか。取り敢えず、まずは必要なものを調達しに行こう。そう思い扉のある部屋へ。それをくぐり抜け家に戻った。
そうだな、あの船がもう一つの家って事になるから……と考えつつお財布を持ち玄関を出ようとした。
そう、出ようとしたんだけど……
「えっ!?」
鍵を開けたのに、扉を開けられなかった。
どうやっても。しかも、覗き窓も真っ暗。
何かのいたずら? でも、何となくそうではないような。そんな気がして、部屋に戻りカーテンを開けた。け、ど……
「う、そ……」
窓が、ない。ただの、壁。確かにそこには窓があったはずなのに。私は隣の窓、家の中にあるすべての窓を見て回った。けど、結果は同じ。
ふと、テーブルにあるスマホを見てみた。けど、いくつか見当たらない。電話やSNS、外との連絡手段の全てが、消えている。
――もしかして、孤立してる……?
さっきからあり得ないものばかりが起きている。だから、これもその一つなんだろうけれど……じゃあ私、ここから出られず、この家とあの船の中だけで暮らさなきゃ、いけないの……?
いや、まず落ち着こう。
今あるものは、この家と舩。この現象がどんなもので戻るのかどうかも分からない。だから、戻るかもしれない、という考えでいこう。
今私に必要なもの、それは食料。今冷蔵庫、冷凍庫にはたっぷり食料がある。常温でOKなものも。
だけど、何時かは尽きる。じゃあ、船の上で食料を調達するしかない。としたら、魚? でも釣り道具なんてものないし。そもそもあったとしてもやり方分からないし。
あ、そういえば。さっき甲板で畑を見つけたんだった。野菜とかって育てられるかな。海の上で野菜って育つのかな。と言っても、実の中にある種植えたら出てくるかどうかも分からないけど。
船に水はある。しかも不思議な事にガス、電気もあった。これなら不自由なく過ごせる。
「……ま、何とかなるでしょ」
水さえあれば何とかなる。周りにあんなにあるんだ、水不足になんてならない。
……まぁ、栄養不足にはなりたくないけれど。
さ、もっと探索しようかな。そう思いさっきの扉をまた潜ったのだった。
独身で、彼氏もいない。まぁ別にいいんだけどさ。
今、私は実家暮らしをしている。と言っても一人暮らしではある。両親を1年前に亡くして、兄弟も親戚もいない。
だから、実家であるこの一軒家に一人で住んで維持しているという訳だ。まぁ、色々とあって忙しくて彼氏とか何だとかって後回しにしてたんだけどさ。会社の同僚から合コン行かない? とかって聞かれても全部パスしてたし。
だから、毎日毎日仕事に行っては稼いで稼いで稼ぎまくっているわけだ。
明日は久々の休みだったから、遅起きでもしようかな。なんて考えつつもお風呂に入ってからビールを飲んで。
そして、寝て起きて、発見した。
リビングに立っている、扉を。
「わぁお、なにこれ?」
突然現れた扉。その場所はリビング。
ウチとは違って、木で作られたなかなか見ない扉。
いや、おかしいって。何でこんなところに扉があるのよ。しかも壁に取り付けられているわけじゃなくて、ただ床に立ってるだけ。押しても倒れないから完全に床に固定されてしまってる。
まさか、いたずら? いやいやいや、こんないたずらあってたまるかよ。
「あ、鍵かかってない」
試しにドアノブを回してみた。簡単に回り、押してみる。と……
「……は?」
目の前には、リビングではなく何かの木で作られた部屋らしきものが広がっていた。
私は、そっと扉を閉めた。
「うん、夢だ。寝よ寝よ」
仕事はないんだから好きなだけ寝れるんだ。よし、寝よう。
おやすみなさい、と布団に入った。
「……いや、おかしいって」
ほっぺたつねっても、痛い。ちょっと強かったかも。ヒリヒリする。
後ろ側見ても何もない。ただ立ってるだけ。
また、そーっと開けてみた。さっきと同じく、部屋が広がってる。開けたまま後ろ側見ると、そのまま。ドアが開いていない。何とも不思議なものだ。
扉の中は……物音はしない。誰もいないのかな。
……入って、みる? いや、だって、気になるじゃない? こんな所に不思議な扉があって、知らない所に繋がってて、だなんて。
あ、泥棒って思われちゃうかな。でも仕方ないよね。だって、逆もあるわけじゃん。こっちに入ってこられたらたまったもんじゃない。
「よし、じゃあ、お邪魔しまーす……」
一歩、二歩と向こう側に入った。あれ、なんか、匂いがする。これは……磯の香り? と思っていたら、いきなり目の前に現れた。
ピコン、という音を立てて目の前に現れたもの、それは……
______________
STATUS
名前:なし Lv.1
船長:江口奈央
称号:なし
クルー:1人
______________
「……はぁ?」
え、なにこれ。何で船長の欄に私の名前があるのよ。いやいや、それより、これってシステムウィンドウってやつ? ありえないでしょ。あ、いや、もうこの扉が出現した時点でもうあり得ないこと起こっちゃってるんだけどさ。
船長、って事は……ここ、船? 磯の香りがするし。でも、揺れてなくない?
クルー一人って事は、じゃあこの船には私一人しかいないって事?
確かめてみなきゃ、と思い扉を閉めてこの部屋を散策。ベッドがあって、棚があって、机がある部屋だ。でも新品。
そして、この部屋に取り付けてあるもう一つの扉を、そぉーっと開いた。廊下があり、その向こうに上に上がれる階段が見えた。
部屋を出て、その階段を上がってみた。
目の前に広がったもの、それは……
「う、海だ……!」
目の前いっぱいに、海が広がっていた。ここは甲板らしく、海を一望できる。太陽の光が当たってキラキラしていてとっても綺麗。風も気持ちいい。
海だなんて、何年ぶりだろう。画面越しとかでしか見てないかも。
「この船の船長が、私って事は……これ、私の船!?」
見渡してみたけど、これ結構大きくない?
こんなに大きな船、私何にも出来ないよ。というより、何にも知らない。今は海の上にぽつりと止まってるみたいだけど、どうやって動かすのかも分からない。それに、もし大雨とか津波とか来た時どうしたらいいのかも。
そんな時、またさっきの音が鳴った。目の前に、またシステムウィンドウが表示される。
______________
STATUS
名前:江口奈央 Lv.1
職業:船長
称号:なし
______________
自動管理システム
自動防衛システム
______________
ほぉ、自動管理システムとは? 勝手に何かやってくれてる感じ? すごいすごい! しかも防衛システムって、守ってくれるって事!? この船優秀じゃない!
それから、私は船内探索を始めた。沢山お部屋があって、ちゃんとした家具も揃っていた。
キッチンもあって、トイレもあって、お風呂もあった。しかも大浴場だった。凄くない? でも、じゃあ水は? と思ったけれどちゃんとした綺麗でおいしい水が蛇口から出てきた。
しょっぱくなかったから、きっと海の水を真水に変える機械か何かがあるんだと思う。
勿論、システムウィンドウ通り誰とも会わなかった。本当かな、隠れてたりとかしてないのかな、と思ったけど……システムウィンドウはいないって言ってるから、たぶん大丈夫!
さて、これからどうしたものか。取り敢えず、まずは必要なものを調達しに行こう。そう思い扉のある部屋へ。それをくぐり抜け家に戻った。
そうだな、あの船がもう一つの家って事になるから……と考えつつお財布を持ち玄関を出ようとした。
そう、出ようとしたんだけど……
「えっ!?」
鍵を開けたのに、扉を開けられなかった。
どうやっても。しかも、覗き窓も真っ暗。
何かのいたずら? でも、何となくそうではないような。そんな気がして、部屋に戻りカーテンを開けた。け、ど……
「う、そ……」
窓が、ない。ただの、壁。確かにそこには窓があったはずなのに。私は隣の窓、家の中にあるすべての窓を見て回った。けど、結果は同じ。
ふと、テーブルにあるスマホを見てみた。けど、いくつか見当たらない。電話やSNS、外との連絡手段の全てが、消えている。
――もしかして、孤立してる……?
さっきからあり得ないものばかりが起きている。だから、これもその一つなんだろうけれど……じゃあ私、ここから出られず、この家とあの船の中だけで暮らさなきゃ、いけないの……?
いや、まず落ち着こう。
今あるものは、この家と舩。この現象がどんなもので戻るのかどうかも分からない。だから、戻るかもしれない、という考えでいこう。
今私に必要なもの、それは食料。今冷蔵庫、冷凍庫にはたっぷり食料がある。常温でOKなものも。
だけど、何時かは尽きる。じゃあ、船の上で食料を調達するしかない。としたら、魚? でも釣り道具なんてものないし。そもそもあったとしてもやり方分からないし。
あ、そういえば。さっき甲板で畑を見つけたんだった。野菜とかって育てられるかな。海の上で野菜って育つのかな。と言っても、実の中にある種植えたら出てくるかどうかも分からないけど。
船に水はある。しかも不思議な事にガス、電気もあった。これなら不自由なく過ごせる。
「……ま、何とかなるでしょ」
水さえあれば何とかなる。周りにあんなにあるんだ、水不足になんてならない。
……まぁ、栄養不足にはなりたくないけれど。
さ、もっと探索しようかな。そう思いさっきの扉をまた潜ったのだった。