異世界でイケメンを引き上げた!〜突然現れた扉の先には異世界(船)が! 船には私一人だけ、そして海のど真ん中! 果たして生き延びられるのか!
◇16 クルーが一匹増えた!
だいぶ騒がしい出航だった。
とりあえず、腰を抜かしてしまった。どうしよう、マジで怖かった。
「チッ、往生際が悪いな」
「へ? うわっ!?」
私を担いだまま、今度はどこかに走り出したヴィンス。
ちょっと待って私を降ろしてからにして!! なぁんて私の心の声はガン無視。そしてその行き先は……
「へっ、船橋?」
「5……6隻か」
「えぇー!?」
窓の外、国の方角から船がこちらに向かっているのが見えた。
え、マジ? 私達狙われてる感じ!? こっ怖っ!?
「この船、俺が動かしていいか」
「えっ?」
「船長代理」
「あ、はい、どうぞ」
ヴィンスは、水晶に触れシステムウィンドウを沢山開いた。その中の2つに指で触れ、まるでスマホの画面でするような動きで目の前に並べて持ってきた。なんか、そういうの慣れてる感じ? まぁ異世界人だから当たり前?
その2つに書かれていたものは、地図とこの船後方が映っている画面。何かカメラみたい。
「この船、速いな」
「マジ?」
「普通の船だったらこんなスピードは出ない。ほら、アイツ等追いつけてないだろ」
「あ、ほんとだ。じゃあそのまま振り切っちゃう感じ?」
「いや、この先は隣国の海域に入っちまうから……ここに突っ込む」
「……へっ!?」
ヴィンスの指さすシステムウィンドウの場所。地図で、私達の船と、あの国の船が表示されていて、その先に……
「あの、ヴィンスさん!? 何か渦巻いてるんですけど!? 渦潮ってやつですよねこれって!? しかも一つや二つじゃないですよね!?」
「そりゃそうだろ、ここはそういうエリアだ」
「いや何さも当然のように言っちゃってるのよ!! あんなところに突っ込んだら死んじゃうよ!!」
「自動防衛システム」
「……」
あっ……なるほど、そういう事ですか。私達を追ってる人達はここに入れないけれど、私達の船なら入れるって事ですか。
「向こうの人達の船になんかバリア的なものは……」
「あるわけないだろ、この船が異常すぎるんだ」
「あ、はい、そうですか……」
という事で、突っ込みました。あ~れ~と船がぐるぐる回転したけど、さして私達に被害はなく。というか揺れなかったし。
そして気が付いたら……後方カメラにまるで海の中のような映像が流れた。
「うっそ」
「あ、やっぱりか」
「やっぱりって?」
「この巨大渦潮、普通の渦潮と色々と違うんだ。普通なら深海へ投げ出されるなんて事はないんだが、良い逃げ場になったな」
「え、ここ深海!?」
「そ」
「で、でも、自動防衛システムを使うと動けなくなっちゃうでしょ」
「あの渦潮には海底に投げ出されるものと、海底から海上に流すものの二つがある。だが、ここまで下に降りてしまうともう一つの渦潮を利用して海上に出る事は出来ないんだが……この海底には色々と魔獣がいてな」
へっ、ま、魔獣!? 魔獣なんているの!? この異世界に!! うわぁ、マジでファンタジーだわ。まぁでもこの船を降りない限り襲われる事はないだろうけど。船から降りたとしても、絶対ヴィンスから離れなければ死ぬ事はないだろうし。
「そのうちの一匹は海中をかき回すかのように渦を作る奴がいるんだ。そいつに流してもらえば、上手くいけば海上に上がれる」
「な、るほど……詳しいんだね」
「まぁな」
これは、物知りって事で片付けていいのだろうか。物知りレベル以上なんじゃ……?
しかも、兵隊さん達から逃げる時だってそう。あんな身体能力? ジャンプとかしてたし。あんな人の身長より高く、しかも私を抱えてジャンプする高さじゃないよね、あれ。
「どした」
「……マジで状況把握出来てないです」
「あはは、悪かったよ」
「いや、絶対そう思ってないでしょ」
「思ってる思ってる」
笑ってるから絶対思ってないだろ!! 酷い!! ヴィンスさん酷い!!
まぁでも言っちゃえばあそこで強行突破しなきゃあのお偉いさんに船に上がられて大変な事になっていた事だろうし。
あれ? そういえば、外にいる鳥さん。貴方はどなた?
「あぁ、あいつか。シャロンだ。さっきあいつに引き上げてもらって船の甲板に戻ったんだ」
「へ、へぇ、力持ち、なんだね……」
どっから来たの? とかって聞いてもいいのだろうか。
「俺は一応傭兵でな。シャロンと一緒に色々と回ってたんだ」
「へ、へぇ……」
「海に投げられる前にはぐれてな。だがまさかこの国で会えるとは思わなかった」
「そ、なんだ……」
でも、さ……それならここで降りても良かったんじゃないかな。だって、この人にも生活とかあるはずなのに。
送り届けるって言ったら、恩返ししたいって言われて、でも……良かったのかな。
「何、何で降りなかったのかって思ってるか?」
「あ、うん、だって……」
「そんな訳ないだろ。ナオの美味い飯食べれなくなるだろ」
「……ご飯?」
「そ、ご飯。それに、俺がいないと寂しくないか?」
「……いいの?」
「いいっていいって、だから気にすんな。俺だって結構この生活気に入ってるんだ」
「そ、なんだ……」
へぇ……気に入ってるんだ。恩返しって言われてたけど……なんか、嬉しい。
「それにせっかくあんなに肉買ったのに」
「え、それが一番の目的?」
「いや? ナオの作るアイスもめちゃくちゃ楽しみにしてる」
「頑張ります」
マジか、そこまで期待されてたとは。これは美味しいの作らないといけなくなったぞ。緊張するんだけど。失敗したらどうしよう、その時はすみません。
「……そっか、うん、ありがと」
「うん。じゃあ改めて、シャロンともどもこれからもよろしくな」
「うんっ!」
……またあんな出航はごめんだけど。それはお口チャックするけど。
けど買いたいものも買えて、無事に船で国から出る事が出来たんだしね。ありがとう、二人とも。
「因みにさ、シャロンさんはオス? メス?」
「オス」
「それなのにシャロンなんだ……」
ヴィンスのネーミングセンスを疑っちゃう。だって、シャロンって女性の名前だよね。
「因みに言うと、名付け親は俺じゃないぞ」
「あ、そうなんだ」
バレてた? 疑ってごめんね。
でも、動物であっても同じ女の子のクルーだったら嬉しいなと思っていた。けど、オスなんだ……ちょっと悲しい。
けど、鷲、だよね? なんかカッコいいし。
______________
STATUS
名前:えぐち Lv.40
船長:江口奈央
称号:なし
クルー:2人 1匹
______________
あ、表示は《1匹》なんだ。まぁそうなるだろうけれど。ちゃんと表示されるんだ。
でも、やっとレベルが40にいったな。ずっと38止まりだったから嬉しいな。もしかして、シャロンさんが加わったからかな。それもありそうだよね。
なんか、仲間が増えるって嬉しいなぁ。
「……ん?」
船の、名前のところ。名前の欄に、〝えぐち〟って入ってません?
やっぱり、ヴィンスがあれ言っちゃったから……?
私の苗字を船の名前にしちゃっていいの?
……まぁ、いっか。
とりあえず、腰を抜かしてしまった。どうしよう、マジで怖かった。
「チッ、往生際が悪いな」
「へ? うわっ!?」
私を担いだまま、今度はどこかに走り出したヴィンス。
ちょっと待って私を降ろしてからにして!! なぁんて私の心の声はガン無視。そしてその行き先は……
「へっ、船橋?」
「5……6隻か」
「えぇー!?」
窓の外、国の方角から船がこちらに向かっているのが見えた。
え、マジ? 私達狙われてる感じ!? こっ怖っ!?
「この船、俺が動かしていいか」
「えっ?」
「船長代理」
「あ、はい、どうぞ」
ヴィンスは、水晶に触れシステムウィンドウを沢山開いた。その中の2つに指で触れ、まるでスマホの画面でするような動きで目の前に並べて持ってきた。なんか、そういうの慣れてる感じ? まぁ異世界人だから当たり前?
その2つに書かれていたものは、地図とこの船後方が映っている画面。何かカメラみたい。
「この船、速いな」
「マジ?」
「普通の船だったらこんなスピードは出ない。ほら、アイツ等追いつけてないだろ」
「あ、ほんとだ。じゃあそのまま振り切っちゃう感じ?」
「いや、この先は隣国の海域に入っちまうから……ここに突っ込む」
「……へっ!?」
ヴィンスの指さすシステムウィンドウの場所。地図で、私達の船と、あの国の船が表示されていて、その先に……
「あの、ヴィンスさん!? 何か渦巻いてるんですけど!? 渦潮ってやつですよねこれって!? しかも一つや二つじゃないですよね!?」
「そりゃそうだろ、ここはそういうエリアだ」
「いや何さも当然のように言っちゃってるのよ!! あんなところに突っ込んだら死んじゃうよ!!」
「自動防衛システム」
「……」
あっ……なるほど、そういう事ですか。私達を追ってる人達はここに入れないけれど、私達の船なら入れるって事ですか。
「向こうの人達の船になんかバリア的なものは……」
「あるわけないだろ、この船が異常すぎるんだ」
「あ、はい、そうですか……」
という事で、突っ込みました。あ~れ~と船がぐるぐる回転したけど、さして私達に被害はなく。というか揺れなかったし。
そして気が付いたら……後方カメラにまるで海の中のような映像が流れた。
「うっそ」
「あ、やっぱりか」
「やっぱりって?」
「この巨大渦潮、普通の渦潮と色々と違うんだ。普通なら深海へ投げ出されるなんて事はないんだが、良い逃げ場になったな」
「え、ここ深海!?」
「そ」
「で、でも、自動防衛システムを使うと動けなくなっちゃうでしょ」
「あの渦潮には海底に投げ出されるものと、海底から海上に流すものの二つがある。だが、ここまで下に降りてしまうともう一つの渦潮を利用して海上に出る事は出来ないんだが……この海底には色々と魔獣がいてな」
へっ、ま、魔獣!? 魔獣なんているの!? この異世界に!! うわぁ、マジでファンタジーだわ。まぁでもこの船を降りない限り襲われる事はないだろうけど。船から降りたとしても、絶対ヴィンスから離れなければ死ぬ事はないだろうし。
「そのうちの一匹は海中をかき回すかのように渦を作る奴がいるんだ。そいつに流してもらえば、上手くいけば海上に上がれる」
「な、るほど……詳しいんだね」
「まぁな」
これは、物知りって事で片付けていいのだろうか。物知りレベル以上なんじゃ……?
しかも、兵隊さん達から逃げる時だってそう。あんな身体能力? ジャンプとかしてたし。あんな人の身長より高く、しかも私を抱えてジャンプする高さじゃないよね、あれ。
「どした」
「……マジで状況把握出来てないです」
「あはは、悪かったよ」
「いや、絶対そう思ってないでしょ」
「思ってる思ってる」
笑ってるから絶対思ってないだろ!! 酷い!! ヴィンスさん酷い!!
まぁでも言っちゃえばあそこで強行突破しなきゃあのお偉いさんに船に上がられて大変な事になっていた事だろうし。
あれ? そういえば、外にいる鳥さん。貴方はどなた?
「あぁ、あいつか。シャロンだ。さっきあいつに引き上げてもらって船の甲板に戻ったんだ」
「へ、へぇ、力持ち、なんだね……」
どっから来たの? とかって聞いてもいいのだろうか。
「俺は一応傭兵でな。シャロンと一緒に色々と回ってたんだ」
「へ、へぇ……」
「海に投げられる前にはぐれてな。だがまさかこの国で会えるとは思わなかった」
「そ、なんだ……」
でも、さ……それならここで降りても良かったんじゃないかな。だって、この人にも生活とかあるはずなのに。
送り届けるって言ったら、恩返ししたいって言われて、でも……良かったのかな。
「何、何で降りなかったのかって思ってるか?」
「あ、うん、だって……」
「そんな訳ないだろ。ナオの美味い飯食べれなくなるだろ」
「……ご飯?」
「そ、ご飯。それに、俺がいないと寂しくないか?」
「……いいの?」
「いいっていいって、だから気にすんな。俺だって結構この生活気に入ってるんだ」
「そ、なんだ……」
へぇ……気に入ってるんだ。恩返しって言われてたけど……なんか、嬉しい。
「それにせっかくあんなに肉買ったのに」
「え、それが一番の目的?」
「いや? ナオの作るアイスもめちゃくちゃ楽しみにしてる」
「頑張ります」
マジか、そこまで期待されてたとは。これは美味しいの作らないといけなくなったぞ。緊張するんだけど。失敗したらどうしよう、その時はすみません。
「……そっか、うん、ありがと」
「うん。じゃあ改めて、シャロンともどもこれからもよろしくな」
「うんっ!」
……またあんな出航はごめんだけど。それはお口チャックするけど。
けど買いたいものも買えて、無事に船で国から出る事が出来たんだしね。ありがとう、二人とも。
「因みにさ、シャロンさんはオス? メス?」
「オス」
「それなのにシャロンなんだ……」
ヴィンスのネーミングセンスを疑っちゃう。だって、シャロンって女性の名前だよね。
「因みに言うと、名付け親は俺じゃないぞ」
「あ、そうなんだ」
バレてた? 疑ってごめんね。
でも、動物であっても同じ女の子のクルーだったら嬉しいなと思っていた。けど、オスなんだ……ちょっと悲しい。
けど、鷲、だよね? なんかカッコいいし。
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STATUS
名前:えぐち Lv.40
船長:江口奈央
称号:なし
クルー:2人 1匹
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あ、表示は《1匹》なんだ。まぁそうなるだろうけれど。ちゃんと表示されるんだ。
でも、やっとレベルが40にいったな。ずっと38止まりだったから嬉しいな。もしかして、シャロンさんが加わったからかな。それもありそうだよね。
なんか、仲間が増えるって嬉しいなぁ。
「……ん?」
船の、名前のところ。名前の欄に、〝えぐち〟って入ってません?
やっぱり、ヴィンスがあれ言っちゃったから……?
私の苗字を船の名前にしちゃっていいの?
……まぁ、いっか。