異世界でイケメンを引き上げた!〜突然現れた扉の先には異世界(船)が! 船には私一人だけ、そして海のど真ん中! 果たして生き延びられるのか!
第四章 幻想的で怖すぎる深海

◇17 とっても綺麗な海の底

 無事、ラモストエリス国から出国出来た私達は今、海底にいます。ちょっと前まで海の上にポツンといたのに、今度は海底ですよ。


「う、わぁ……魚!」

「そりゃ海の底なんだから魚はいるな」

「うん、まぁそうなんだけどさ。でも海の中なんて普通潜らないといけないし、ここ結構深い海の底なんでしょ? この船がないと来れなかった訳だし。なんかすごく新鮮!」

「まぁそうだな。だけど、これだとしばらくは魚は食べられないな」

「そのためのお肉でしょ」

「魚食べ放題の次は肉食べ放題、最高だな」

「あはは、美味しいの作れるよう頑張りま~す!」


 あ、その前に小分けにしなきゃじゃん。どっかの誰かさんが全部5kgで買っちゃったもんだからデカいまま今冷蔵庫に入ってるんだけどさ。でも一気には食べられないから小分けにして冷凍庫に入れないとだよね。


「とりあえず、まずはホームベーカリーをセットしよっか」

「あぁ、パンか」

「うん、だから明日の朝ご飯ね」

「材料入れるだけでいいとか、楽すぎだろ」

「いやぁ、開発者に感謝だね」


 冷暗所に置いておいた強力粉とドライイースト。あとバターと砂糖と水ね。


「ここでいいか」

「うん、ありがとう」


 奥に置いてあったホームベーカリーをキッチンに持って来てくれた。さてさて、あとは材料を中に入れる訳だけれど……


「やってみる?」

「いいのか」

「うん。はい、計りとボウルね」

「じゃあ」


 恐る恐る、まずは粉からと計量しホームベーカリーのパンケースに入れていく。中で材料を回す羽根も忘れずに。

 一緒に付いていたレシピを元に入れているわけだけれど……こういうの、ヴィンスは何も思ってないのかな。これはパソコンとかで打ち出された文字。手書きではない。

 市場では、全て手書きだった。という事は、こういう技術はないって事だよね。疑問に思っているのかもしれないけれど、私との約束に詮索しないというものも入れていたからそれを守っているのかも。

 まぁ、聞かれたとしても私何も答えられないしね。


「なぁ、ナオ」

「んー?」

傭兵(ようへい)ってどういうのか知ってるか?」

「え? 知ってるよ? ヴィンスもそのうちの一人じゃん」

「ん~、まぁそうなんだけど……傭兵って、乱暴で横暴で野蛮な奴らだ。まぁ、軍隊に雇われてる奴らなんだからそうなるな。まぁ、魔獣の発生地に片っ端から送られてくしな」

「そ、なんだ……」


 この海にも魔獣はいるって言ってたけど……やっぱり異世界だ。魔獣って怖いのかな。倒すためにヴィンス達傭兵は出向くんでしょ?


「……ナオと会う前にいた国だと、魔獣って結構発生してたんだよ。結構駆り出されてたんだ、俺ら」

「……怪我、しなかった?」

「そりゃあするっちゃする。でもちゃんと怪我しても処置してたし。でもさぁ、雇ってんのに薬とかケチる国とかあるんだよ。まぁ結局すぐにやめたけどさ。そこの傭兵」

「そ、なんだ……」

「そんな俺がクルーで、いいのか?」

「え、なんで」

「いや、だってどこの国に行っても傭兵ってあまり歓迎されないからな」


 そ、なんだ……


「……代わりに魔獣を倒してくれるのに、歓迎されないってちょっと理不尽じゃない?」

「まぁ、そうは思わない奴らが多いって事ではあるな」

「傭兵=乱暴とかって、違うと思うよ。ヴィンス優しいし、力持ちだし、助けてくれるし。だから私は気にしない。それに、今はこの船のクルーじゃん。傭兵じゃなくて」

「……まぁ、そりゃそうだな」

「でしょ? だからそういうの気にしなくていいよ」

「……ならいいよ」


 何となく、そういうの気にしないようなタイプだと思ってたんだけど。もしかして、私に気遣った?

 別にそういうのいいのにな。


「計り終わった? じゃあセットしてスイッチ押そうか!」

「ここ?」

「うん、そこにはめて回して」

「こうか」


 美味しく焼けるといいな。クルーの一員であるヴィンスが材料を入れたパン。……材料を入れただけなんだけど。

 まぁでも、材料を計るのも大切な事だし。うん。


「じゃあ次はお肉?」

「んじゃ持ってくるな」

「うん」


 とりあえず、危ない事も怪我もしないでほしいな。

 結構この生活気に入ってるって言ってたし、楽ちんで楽しく生活してくれたら嬉しいです。
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