異世界でイケメンを引き上げた!〜突然現れた扉の先には異世界(船)が! 船には私一人だけ、そして海のど真ん中! 果たして生き延びられるのか!
◇6 この船、おかしすぎる
クルーが一人増えて次の日。彼は驚くほどにここに馴染んでしまった。恐るべし適応力。むしろこっちが慣れないよ。
「とても新鮮なトマトだな」
「でしょ? とってもみずみずしくて美味しいの!」
「だが……驚くべきは……」
「あ、はは……」
トマトの隣にある、これ。そう、《卵》だ。
なんかね、卵の殻が肥料になるって書いてあったから土に埋めてみたの。そしたらさ、3日後くらいに周りに芽が生えちゃって。
それが成長してさ、ちょっと背の低くて大きな葉っぱの植物になって大きな花が咲いてさ。しかも、真ん中に白くてまぁるい実のようなものがなってて。
「これ、何だ?」
「……さぁ?」
「……硬いぞ、これ。実か?」
「食べられるの? これ。お腹壊さない?」
「……実験台になるか? 俺」
「腹痛薬はあるけど……毒だったらどうする?」
「心配するな、毒には慣れてる」
「いやいやいやちょっと待て、毒に慣れてるですと?」
「まぁ色々とな」
「……」
そこから先は、聞かない事にした。うん、何か事情があるんだろう。
「それより、薬があるのか」
「あ、うん、まぁ……」
ん? もしかして、薬もこの異世界だと貴重品とか? うん、ありそうだ。
「とりあえず、割ってみるか」
「……うん」
とりあえず、ボウルに割ってみたけど……
「……卵だな」
「うん、卵だ……」
卵が出てきた。殻も硬さとか大きさとかも卵そのもの。卵黄と卵白もちゃんとある。
______________
食材:卵
食用卵。
冷蔵保存で2週間は生食OK。
とがった方を下にして保存しましょう。
この卵は菌の心配はありません。
______________
「……マジかよ」
「この畑、どうなってるんだ?」
「うん、まぁ、そういうものだという事でお願いします」
「……分かった。とりあえず、食ってみるか」
「え、いいの?」
「ステータスには食用って書いてあるだろ。なら大丈夫。味を確認するだけだから」
「あ、はい」
という事で、試しに味無しスクランブルエッグにしてみた。
「……卵だな」
「うん、卵だ」
恐るべし、ウチの畑。もう驚かないぞって思ってたのに無理だったわ。
「こんなの聞いたことがないぞ。農家の奴らが聞いたら仰天するな」
「そうなの? 魔法とかあるんだよね?」
「あるにはあるけどこんなのあるわけないだろ。野菜ならまだしも、卵だなんて。鶏はどうした、鶏は」
「畑から出てきたら怖いよ」
「もし出てきたら俺が仕留める」
「スコップしかないよ?」
「十分だ」
「マジすか」
スコップ一つで鶏を仕留めるとか……てか、何二人して馬鹿な話をしてるんだろうか。
まぁ、この船には常識なんてものは微塵もないらしい。けど、食材が増えて助かるっちゃ助かる。卵ってだいぶ使うじゃん? ほんとよかった。
今度は米を埋めてみようかな、と思い違う場所にある畑で実験中。実は精米機も見つけた。しかも業務用で、すっごくおっきいやつ。そんなに要らないんだけどって思ったんだけど使わせてもらいます。
「じゃあ、全部冷蔵庫に仕舞っとくな」
「お願い!」
実はあの後、ヴィンスと約束をした。ここに置く上での約束事だ。
1.とある部屋には絶対に入らないこと。
2.見たことがないものが沢山あるけれど、詳しく聞かないこと。
3.私や船に関する事は口外しないこと。
4.私の事をあまり詮索しない事。
5.この船の外の常識とかを教える事。
とある部屋とは言わずもがな。私の家に繋がる扉がある部屋だ。そこに入られたら大変なことになる。
あとは、洗濯機に湯沸かし器に精米器にと、異世界にはないものがたくさんある。これは彼から教えてもらった事だ。あ、ちなみに言うとこの家電一式この船に備わっていたもの。私の家から持ってきたわけじゃない。
約束事、びっくりするものも沢山あってちょっと多いかなと思ったけれど意外とすんなり受け入れてくれて、ちょっと驚いてしまった。
「けど、食材とかは地球とこっちが一緒な感じでよかったかも」
知らないものばかりだったら色々と覚えなきゃいけないものばかりだったから、そこは助かったかな。
「ナオ、ちょっとこっち来てくれ」
キッチンにいた私に、外の畑にいたヴィンスがそう声をかけた。外に出て、彼が指を指した方向を見た。あら、なんか雲行き怪しそう。真っ黒い雲が来そうだ。
「大雨、来るぞ。結構デカいな」
「え、マジ?」
今までずっと晴天だったから、こういうのってどうしたらいいのか分からないな。自動防衛システムってあるけれど、一体防衛システムってどこまで守ってくれるのかまだよく分かってない。
とりあえず船橋に行ってみよう。とヴィンスを連れて向かった。
「いいのか、入っても」
「え?」
「だって、簡単に言えばこの先は船の心臓だぞ。部外者の俺が入っていいのか」
「でも、この船のクルーでしょ? ヴィンスは」
「……まぁ、そうだが……」
「仲間なんだから別に入っちゃダメとかないじゃん」
さ、行こっか。と船橋のドアを開いた。
大きな水晶が部屋の中心にあって、他にはガラス張りの窓のみ。そんな部屋を見たヴィンスは驚きを隠せないようで。
この世界にある船の船橋はこんな感じじゃないって事かな。うん、やっぱり常識とかけ離れた船だ。
私はその水晶に手を触れた。この前のように沢山のシステムウィンドウが出現して。あ、あった。この自動システムの取扱説明書。
「わぁお、バリア的な?」
「こんなの、見た事も聞いた事もないぞ……」
出てきたのは、この船の立体図とそれを囲む丸いバリア的なものが描かれた絵。これで波風豪雨から守ってくれるらしい。うん、やっぱりファンタジーだ。でもその場から動けなくなるらしい。なるほどなるほど。
「じゃあ、今生えてる野菜とかの心配は要らないって事ね」
「いや、心配する所はそこじゃないと思うんだが」
この船の素晴らしさを再確認したような気分ね。ありがとう、どっかの誰かさん。この船を私にプレゼントしてくれて。
てか製作者誰よ。あ、よくある神様とかってやつ? とりあえずお礼言いたいわ。家から出られなくなって異世界にある船への扉が出現して、ここで豪雨に巻き込まれてお陀仏か間一髪免れても一生部屋から出られなくなるとか最悪だったし。
「だとしても、あれじゃ結構続きそうだ。大雨の中じゃ魚は獲れなくなるから、今のうちに獲っておくか」
「うん」
ここから動けなくなるって事だけど、今までずっとここにとどまってた。行き先もないから問題ない。よかった。あるとしたら、太陽の光が浴びれないって事くらい?
まぁ心配ないか。
数時間後、彼の言った通り豪雨が私達を襲った。と言っても、私達に被害は全くない。大きなカプセルみたいなものに守られてるから揺れもしない。カプセルの外が荒れに荒れまくってておっそろしいなって思ってるけれど。
これ無かったら海の藻屑となっていただろう、あぁ背筋が凍ってきちゃった。
とりあえず、嵐が過ぎるまでここで大人しくしていましょう。
「……これ、本当に実ると思う?」
「……まぁ、卵も実ったしな」
今私達は、畑のまだ植えてない場所に……砂糖を埋めようとしている。
実はですね、家にあった果物入りシリアルの、果物の方だけ植えてみたの。そしたらなんと果物が実ってしまったではありませんか。
でもさ、実ったはいいけれど……ただ皮剥いて食べるだけじゃつまらないじゃん? それに保存とかも考えなきゃいけないし。だから、砂糖を使ってジャムにするのはどうだろうという考えに至ったのだ。ジャムなら作るの簡単だし。
でもね、それだと砂糖が大量に必要になってくるわけで。なら……植えてみる? という事になったのだ。
あ、因みに言うと、それ言ったのヴィンスだから。私じゃないから。
だって卵だって殻埋めたら鶏通り越して卵のまま出てきちゃったし。
とりあえず、ヴィンスが畑掘って砂糖まいて土をかけてくれた。水やりは私が。
「……どんな感じで出てくると思う?」
「……卵実らせたあの植物みたいなのが、砂糖の入った袋的な実をつける感じか」
あ、あれか。背が低めのあの植物。あの真ん中部分に卵があったから、袋的なのが真ん中に実る感じ?
でも、そういえば砂糖って、サトウキビからだっけ。作るの。
もしサトウキビが出てきたらどうしよう。確かサトウキビから砂糖を作るのは結構大変だったよね。出来るかな? 後で調べておこう。
「とても新鮮なトマトだな」
「でしょ? とってもみずみずしくて美味しいの!」
「だが……驚くべきは……」
「あ、はは……」
トマトの隣にある、これ。そう、《卵》だ。
なんかね、卵の殻が肥料になるって書いてあったから土に埋めてみたの。そしたらさ、3日後くらいに周りに芽が生えちゃって。
それが成長してさ、ちょっと背の低くて大きな葉っぱの植物になって大きな花が咲いてさ。しかも、真ん中に白くてまぁるい実のようなものがなってて。
「これ、何だ?」
「……さぁ?」
「……硬いぞ、これ。実か?」
「食べられるの? これ。お腹壊さない?」
「……実験台になるか? 俺」
「腹痛薬はあるけど……毒だったらどうする?」
「心配するな、毒には慣れてる」
「いやいやいやちょっと待て、毒に慣れてるですと?」
「まぁ色々とな」
「……」
そこから先は、聞かない事にした。うん、何か事情があるんだろう。
「それより、薬があるのか」
「あ、うん、まぁ……」
ん? もしかして、薬もこの異世界だと貴重品とか? うん、ありそうだ。
「とりあえず、割ってみるか」
「……うん」
とりあえず、ボウルに割ってみたけど……
「……卵だな」
「うん、卵だ……」
卵が出てきた。殻も硬さとか大きさとかも卵そのもの。卵黄と卵白もちゃんとある。
______________
食材:卵
食用卵。
冷蔵保存で2週間は生食OK。
とがった方を下にして保存しましょう。
この卵は菌の心配はありません。
______________
「……マジかよ」
「この畑、どうなってるんだ?」
「うん、まぁ、そういうものだという事でお願いします」
「……分かった。とりあえず、食ってみるか」
「え、いいの?」
「ステータスには食用って書いてあるだろ。なら大丈夫。味を確認するだけだから」
「あ、はい」
という事で、試しに味無しスクランブルエッグにしてみた。
「……卵だな」
「うん、卵だ」
恐るべし、ウチの畑。もう驚かないぞって思ってたのに無理だったわ。
「こんなの聞いたことがないぞ。農家の奴らが聞いたら仰天するな」
「そうなの? 魔法とかあるんだよね?」
「あるにはあるけどこんなのあるわけないだろ。野菜ならまだしも、卵だなんて。鶏はどうした、鶏は」
「畑から出てきたら怖いよ」
「もし出てきたら俺が仕留める」
「スコップしかないよ?」
「十分だ」
「マジすか」
スコップ一つで鶏を仕留めるとか……てか、何二人して馬鹿な話をしてるんだろうか。
まぁ、この船には常識なんてものは微塵もないらしい。けど、食材が増えて助かるっちゃ助かる。卵ってだいぶ使うじゃん? ほんとよかった。
今度は米を埋めてみようかな、と思い違う場所にある畑で実験中。実は精米機も見つけた。しかも業務用で、すっごくおっきいやつ。そんなに要らないんだけどって思ったんだけど使わせてもらいます。
「じゃあ、全部冷蔵庫に仕舞っとくな」
「お願い!」
実はあの後、ヴィンスと約束をした。ここに置く上での約束事だ。
1.とある部屋には絶対に入らないこと。
2.見たことがないものが沢山あるけれど、詳しく聞かないこと。
3.私や船に関する事は口外しないこと。
4.私の事をあまり詮索しない事。
5.この船の外の常識とかを教える事。
とある部屋とは言わずもがな。私の家に繋がる扉がある部屋だ。そこに入られたら大変なことになる。
あとは、洗濯機に湯沸かし器に精米器にと、異世界にはないものがたくさんある。これは彼から教えてもらった事だ。あ、ちなみに言うとこの家電一式この船に備わっていたもの。私の家から持ってきたわけじゃない。
約束事、びっくりするものも沢山あってちょっと多いかなと思ったけれど意外とすんなり受け入れてくれて、ちょっと驚いてしまった。
「けど、食材とかは地球とこっちが一緒な感じでよかったかも」
知らないものばかりだったら色々と覚えなきゃいけないものばかりだったから、そこは助かったかな。
「ナオ、ちょっとこっち来てくれ」
キッチンにいた私に、外の畑にいたヴィンスがそう声をかけた。外に出て、彼が指を指した方向を見た。あら、なんか雲行き怪しそう。真っ黒い雲が来そうだ。
「大雨、来るぞ。結構デカいな」
「え、マジ?」
今までずっと晴天だったから、こういうのってどうしたらいいのか分からないな。自動防衛システムってあるけれど、一体防衛システムってどこまで守ってくれるのかまだよく分かってない。
とりあえず船橋に行ってみよう。とヴィンスを連れて向かった。
「いいのか、入っても」
「え?」
「だって、簡単に言えばこの先は船の心臓だぞ。部外者の俺が入っていいのか」
「でも、この船のクルーでしょ? ヴィンスは」
「……まぁ、そうだが……」
「仲間なんだから別に入っちゃダメとかないじゃん」
さ、行こっか。と船橋のドアを開いた。
大きな水晶が部屋の中心にあって、他にはガラス張りの窓のみ。そんな部屋を見たヴィンスは驚きを隠せないようで。
この世界にある船の船橋はこんな感じじゃないって事かな。うん、やっぱり常識とかけ離れた船だ。
私はその水晶に手を触れた。この前のように沢山のシステムウィンドウが出現して。あ、あった。この自動システムの取扱説明書。
「わぁお、バリア的な?」
「こんなの、見た事も聞いた事もないぞ……」
出てきたのは、この船の立体図とそれを囲む丸いバリア的なものが描かれた絵。これで波風豪雨から守ってくれるらしい。うん、やっぱりファンタジーだ。でもその場から動けなくなるらしい。なるほどなるほど。
「じゃあ、今生えてる野菜とかの心配は要らないって事ね」
「いや、心配する所はそこじゃないと思うんだが」
この船の素晴らしさを再確認したような気分ね。ありがとう、どっかの誰かさん。この船を私にプレゼントしてくれて。
てか製作者誰よ。あ、よくある神様とかってやつ? とりあえずお礼言いたいわ。家から出られなくなって異世界にある船への扉が出現して、ここで豪雨に巻き込まれてお陀仏か間一髪免れても一生部屋から出られなくなるとか最悪だったし。
「だとしても、あれじゃ結構続きそうだ。大雨の中じゃ魚は獲れなくなるから、今のうちに獲っておくか」
「うん」
ここから動けなくなるって事だけど、今までずっとここにとどまってた。行き先もないから問題ない。よかった。あるとしたら、太陽の光が浴びれないって事くらい?
まぁ心配ないか。
数時間後、彼の言った通り豪雨が私達を襲った。と言っても、私達に被害は全くない。大きなカプセルみたいなものに守られてるから揺れもしない。カプセルの外が荒れに荒れまくってておっそろしいなって思ってるけれど。
これ無かったら海の藻屑となっていただろう、あぁ背筋が凍ってきちゃった。
とりあえず、嵐が過ぎるまでここで大人しくしていましょう。
「……これ、本当に実ると思う?」
「……まぁ、卵も実ったしな」
今私達は、畑のまだ植えてない場所に……砂糖を埋めようとしている。
実はですね、家にあった果物入りシリアルの、果物の方だけ植えてみたの。そしたらなんと果物が実ってしまったではありませんか。
でもさ、実ったはいいけれど……ただ皮剥いて食べるだけじゃつまらないじゃん? それに保存とかも考えなきゃいけないし。だから、砂糖を使ってジャムにするのはどうだろうという考えに至ったのだ。ジャムなら作るの簡単だし。
でもね、それだと砂糖が大量に必要になってくるわけで。なら……植えてみる? という事になったのだ。
あ、因みに言うと、それ言ったのヴィンスだから。私じゃないから。
だって卵だって殻埋めたら鶏通り越して卵のまま出てきちゃったし。
とりあえず、ヴィンスが畑掘って砂糖まいて土をかけてくれた。水やりは私が。
「……どんな感じで出てくると思う?」
「……卵実らせたあの植物みたいなのが、砂糖の入った袋的な実をつける感じか」
あ、あれか。背が低めのあの植物。あの真ん中部分に卵があったから、袋的なのが真ん中に実る感じ?
でも、そういえば砂糖って、サトウキビからだっけ。作るの。
もしサトウキビが出てきたらどうしよう。確かサトウキビから砂糖を作るのは結構大変だったよね。出来るかな? 後で調べておこう。