後ろの席のヤンキーくんと甘いヒミツ
ある日の英語の授業中。
あれ、ないなぁ……。
板書しているときにアルファベットのスペルが間違ったので、それを消して書き直そうとした私。
だけど、ペンケースの中をどれだけ探しても消しゴムはやっぱり見当たらない。
もしかして、昨日家で勉強したときに、机の上に消しゴムを置いたままにしちゃった?!
うわぁ〜。このあと抜き打ちで小テストをするって、先生がさっき話してたから。
消しゴムがないと、まずいよね。
どうしよう……。
私が考え込んでいると、ポンと後ろから肩を軽く叩かれた。
振り返ると、そこにはもちろん緒方くんが。
「どうした? もしかして衛藤さん、消しゴムがないのか?」
先生に聞こえないよう、小声で尋ねてくる緒方くんに私はコクコクと頷く。
「だったら、これ……使えよ」