後ろの席のヤンキーくんと甘いヒミツ


週末。五月晴れの空の下、時折爽やかな風が吹く。


お出かけ日和の今日は、緒方くんと数日前に話していたカフェに行く日だ。


まさか、本当に緒方くんと出かけることになるなんて。


そもそもは私から誘ったものの、本当に実現するなんて自分でもちょっとびっくり。


「はぁ……はぁ……」


私は今、ひとり街中を走っていた。


実は電車の到着が予定よりも遅れたため、緒方くんとの待ち合わせ時刻に遅れそうだった。


緒方くんからは、すでに待ち合わせ場所に着いたとの連絡があったから。


緒方くん、待ってるよね。


電車が遅延したことはスマホで伝えたものの、あまり長くは待たせたくないと思い、私が走る速度を上げたとき……。


向こうから歩いてきた二人組の男性のうちの一人とすれ違う際に、私は軽く肩がぶつかってしまった。


「痛ってぇなあ、おい!」


ぶつかった相手にいきなり大声を出され、私の肩がビクッと跳ねる。

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